2022 Fiscal Year Research-status Report
MSI大腸癌サブタイプの同定とLynch-like症候群のゲノム解析
Project/Area Number |
21K07187
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Hospital Organization Tokyo Metropolitan Komagome Hospital |
Principal Investigator |
山口 達郎 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室), 遺伝子診療科, 部長 (10538482)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Lynch-like症候群 / MSI大腸癌 / Lynch症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌の10%-15%は、ミスマッチ修復機構の破綻を原因とするマイクロサテライト不安定性(MSI)を示す。MSI大腸癌は、術後補助化学療法の適応や免疫チェックポイント阻害剤の適応に利用されており、臨床上重要なマーカーである。MSI大腸癌には、ミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントを原因とするリンチ症候群とMLH1遺伝子のプロモーター領域の異常メチル化を原因とする散発性MSI大腸癌があるが、近年、ミスマッチ修復遺伝子の後天的な異常を起因とするLynch-like症候群が新たなサブタイプとして提唱されている。本研究では、MSI大腸癌のサブタイプについて臨床病理学的因子やそれぞれのゲノム異常について検討する。本研究の成果は、MSI大腸癌のサーベイランスや薬物療法の適応に利用できる可能性がある。 2008年以降の大腸癌手術検体を用いて、MSI大腸癌のスクリーニングを行ったところ、2,634例中146例(5.5%)がMSI大腸癌であった。BRAF V600EまたはMLH1遺伝子のプロモーター領域に異常メチル化を認めるものを散発性MSIとした場合、90例が散発性MSI大腸癌であった。残りの56例が遺伝学的検査の対象者となったが、遺伝カウンセリング後に遺伝学的検査を希望されたのは49例であり、そのうち30例に生殖細胞系列の病的バリアントを認めLynch症候群と診断し、病的バリアントを認めなかった19例をLynch-like症候群と診断した。 Lynch-like症候群の5例について正常組織と腫瘍組織のペアで全エクソーム解析を実施し、腫瘍のみに起きたバリアントを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2,634検体についてMSI解析、メチル化解析、BRAF V600E解析を終了し、MSI大腸癌のサブタイプに分けた。 臨床病理学的情報を収集・解析し、英文誌に投稿した。現在、査読中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Lynch-like症候群について全エクソーム解析を実施し、DRY解析を行っている。 結果については別途英文誌に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
Lynch-like症候群の予定症例数と全エクソーム解析を実施した検体数に差が生じたため。
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