2023 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン化の検出システムの開発と担癌マウスモデルでの検証
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21K07197
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
宮本 和英 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (10415317)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ユビキチン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、ユビキチン化を高精度・定量的に計測できる検出システムの構築に向けて、蛍光偏光法を活用したユビキチン化の度合いの検出を検討する。 昨年度は、独自に開発した人工E3に蛍光標識して、ユビキチン結合酵素(E2)との相互作用を蛍光偏光法(分光蛍光光度計 F-7100, 日立製)で検出・測定することが可能であることを明らかにした。将来的に動物血清中のE2活性を計測するには、感度(マイクロモルオーダ)が低すぎた。そこで、今年度では、測定サンプル中の溶媒条件を各種検討して、蛍光強度の改善を実施したところナノモルオーダまで高感度になった。この条件のもとで、人工E3と各種E2との相互作用を計測し実験した。E2は、UbcH2,UbcH5,UbcH6,UbcH8の4種を大腸菌で発現し、HPLCで精製して得た。各E2を含有するサンプルを用意し、そこで人工E3を添加して、生じる蛍光強度および蛍光偏向度を検出測定した。結果、E2それぞれに対する人工E3の結合強度Kdをフィッテイングカーブより算出することができた。いずれもマイクロオーダーの強度であった。更には、E1(ユビキチン活性化酵素)、E2、蛍光標識人工E3を含有するサンプルにユビキチンを添加して、生じるユビキチン化を検出する実験から、蛍光標識人工E3にユビキチンが付加することが分かった。これらの結果を、蛍光強度および蛍光偏向度との結果と、比較検討しているところである。 今後の必要な研究の推進方策 本研究によって、蛍光標識した人工E3が有するE2結合能を詳しく調査することができた。今後は、人工E3を細胞上清あるいは担癌マウスの血清中に添加し、生じるユビキチン化活性の測定を実施するための最適な測定条件を検討する予定である。本研究手法が、将来的にユビキチン化が関与する疾患診断に役立つことを目指したい。
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