2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗がん剤開発を目指したcSBLの抗腫瘍効果解析
Project/Area Number |
21K07198
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
立田 岳生 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (70438563)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リボヌクレアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
ウシガエル卵由来シアル酸結合性レクチン(cSBL)は, レクチン活性,RNase 活性および抗腫瘍活性を有する多機能性タンパク質である.これまでに,cSBLが多種のがん細胞に細胞死を誘導し正常細胞と比較してがん細胞に対する選択性が高いこと,既存の抗がん剤であるシスプラチンやペメトレキセドなどと相乗効果を示すことなどが明らかになっている他,がんの悪性度に関与するepidermal growth factor receptor (EGFR)やある種のホルモンレセプターの発現を減少させるなど,cSBL が抗がん剤として有用な性質をもつことが分かってきた. 本研究では,有効な新規治療薬が望まれている膀胱がんに対する cSBL の効果の解析を行った.その結果, 膀胱がんに対するcSBL の有効性が認められ,他の薬剤と比較してもがん細胞選択性などの点で有効な知見が得られた.また本研究では,cSBL の作用機序解析を目的に cSBL の耐性細胞の樹立に成功している.樹立された耐性細胞と親株を比較した網羅的遺伝子解析では,耐性細胞において多様な遺伝子発現変化,特に代謝に関わる遺伝子に多くの発現変化が起こることが明らかになった.それら遺伝子の解析の結果,がんの悪性度や耐性に関与するABCトランスポーターの発現をcSBL が減少させることや,ドキソルビシンなどの耐性に関与すると報告のある aldo-keto reductase family 1B10(AKR1B10)の発現において,ドキソルビシン誘導性の AKR1B10 の発現上昇を cSBL が抑制することなどを見出している. さらに,RNA 分解とアポトーシス誘導メカニズムの解明のための研究では,cSBL が強い c-Jun の活性化を引き起こすことが明らかになり,cSBLの抗腫瘍作用にその活性化が重要な役割を持つ可能性が示された.
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