2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞外アデノシン濃度制御による革新的な固形癌治療法開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
21K07205
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
小柴 賢洋 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70301827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 彩子 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (20298772)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アデノシンデアミナーゼ(ADA) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細胞外アデノシン濃度をコントロールすることで、T細胞機能を抑制する経路であるアデノシン受容体シグナルを制御し「臓器・組織型を問わず、副作用の少ない身体に優しい、全く新しい固形癌の治療法」を開発するための基礎的研究を行うことである。本研究では、すでに他の目的で臨床応用されている薬物(先天性複合性重症免疫不全症を発症するADA欠損症患者において既に臨床実績のあるPEG-ADA)と簡便な手技を用いて抗腫瘍効果を回復させることを目標としている。本治療は局所投与により局所の免疫能を回復させる一方で全身の免疫能にはほとんど影響を与えないため、免疫チェックポイント阻害薬でみられる免疫関連副作用を回避できると考えられ、理想的な治療法の開発につながると期待される。 2021年度の実施計画は、癌細胞株をアデノシンデアミナーゼノックアウト(ADA-KO)マウスに移植し担癌マウスモデルを作製する。接種細胞数を1000 - 2000万個/0.1mlに調整し、8~12週齢のADA-KOマウスの皮下に注入する。対照として野生型(ADA+/+)およびLittermateのADA+/-マウスを使用する。腫瘍の生着、進展を腫瘍径の計測により経時的に検討する。癌細胞移植後約20~28日に屠殺し、腫瘍内に浸潤する細胞障害性Tリンパ球を抽出し、その細胞数や細胞障害活性をin vitroで検討ことであった。予備実験の段階でADAノックアウトマウスの対照となる野生型(ADA+/+)マウスにて癌細胞移植後の腫瘍の成長具合に個体差が見られたため、最適な接種細胞数を検討し、ADAノックアウトマウスおよびLittermateのADA+/-マウスにも腫瘍細胞を移植し癌細胞が野生型(ADA+/+)マウスへ接種した時と同様の成長をするか検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の実施計画は、癌細胞株をアデノシンデアミナーゼノックアウト(ADA-KO)マウスに移植し担癌マウスモデルを作製する。癌細胞株は予備実験から高転移性であるルイス肺癌が適していることを示唆する結果を得ており、接種細胞数を1000 - 2000万個/0.1mlに調整し、癌細胞株を8~12週齢のアデノシンデアミナーゼノックアウト(ADA-KO)マウスの皮下に注入する。対照として野生型(ADA+/+)およびLittermateのADA+/-マウスを使用し、腫瘍の生着、進展を腫瘍径の計測により経時的に検討する。そして癌細胞移植後約20~28日に屠殺し、肝・肺・リンパ節等への遠隔転移の有無を確認するとともに血中ならびに腫瘍中のアデノシン濃度をHPLC法により測定する。また、腫瘍内に浸潤する細胞障害性Tリンパ球を抽出し、その細胞数や細胞障害活性をin vitroで検討する予定であった。予備実験の段階でADAノックアウトマウスの対照となる野生型(ADA+/+)マウスにて癌細胞移植後の腫瘍の成長具合に個体差が見られたため、最適な接種細胞数を決めた後、ADAノックアウトマウスおよびLittermateのADA+/-マウスにも腫瘍細胞を移植し癌細胞が野生型(ADA+/+)マウスへ接種した時と同様の成長をするか検討しているところである。腫瘍細胞の成長速度や大きさに再現性が取れれば血中ならびに腫瘍中のアデノシン濃度の測定等のサンプル採取へ移れるため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍移植マウスの系において、腫瘍の進展状態をその大きさから早期・中期・後期の3段階に分類することにより、癌患者の病期をシミュレートする。それぞれの病期において治療効果を評価する。 抗腫瘍効果は腫瘍径、マウスの生存曲線、遠隔転移の有無・個数・大きさにより判定する。組織学的な抗腫瘍効果については、TUNEL法ないしフローサイトメトリにて腫瘍細胞のアポトーシスを検討し、血管新生についてはHE染色にて病理組織学的に評価すると同時に血管内皮細胞マーカーであるCD31による免疫染色法で検討する。 (1)アデノシンデアミナーゼ局所投与について:PEG-ADAを連日、あるいは4日毎に、0.625, 1.25, 2.5, 2.5, 2.5 Uの濃度で腫瘍内投与し、上記の要領にて抗腫瘍効果を評価する。治療期間については、腫瘍が退縮するまで、またはマウスが腫瘍死するまでとし、至適濃度ならびに投与回数を設定する。 (2)抗PD-1抗体投与について:代表的な抗PD-1抗体で既に臨床応用されているニボルマブを、PEG-ADA投与同様連日、また4日毎に0.2mg/匹の量で投与する。投与方法としては腹腔内投与、腫瘍内投与の2群に分け、上記の要領にて抗腫瘍効果を評価し、至適投与法を設定する。 (3)PEG-ADA、ニボルマブの併用について:上記(1)(2)から得られたPEG-ADAならびにニボルマブの至適投与方法に基づき、それぞれの単独療法だけで効果不十分な場合は両者の併用療法を行い、抗腫瘍効果を比較する。
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Causes of Carryover |
試薬等が予定より安価に購入できたため。 動物実験用の物品費(試薬類、消耗品)として次年度も使用予定である。
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