2021 Fiscal Year Research-status Report
アップコンバージョンナノ粒子を基盤とした光線力学療法用製剤の開発
Project/Area Number |
21K07207
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
毛利 浩太 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (30723697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 茂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20322307)
向井 英史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (60570885)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アップコンバージョン効果 / 無機ナノ粒子 / 光線力学療法 / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、長波長の光を短波長の光へ変換するアップコンバージョン効果を発揮するナノ粒子(UCNP)を合成し、その生体応用や医療応用を目指す。今年度は、solvothermal法を用いて希土類元素であるY、Nd、Gd、Tm、Ybなどの金属塩をオレイン酸中で共沈殿させることにより、UCNPを合成した。さらに、合成したUCNPをコアとし、Yなどを用いてシェル殻を被覆させることでコア-シェル構造を有するUCNPの合成にも成功した。合成したUCNPのアップコンバージョン効果を評価するために980 nmのレーザー光を照射したところ、照射部位においてのみ可視領域の光が確認された。この結果から、合成したUCNPがアップコンバージョン効果を発揮したことが示唆された。次に、UCNPから発せられるアップコンバージョン光の特性を評価するために、980 nmのレーザー光を照射したときに発せられる光の波長を測定した。その結果、合成したUCNPは800 nm付近、480 nm付近、350 nm付近の光を発していたことも確認できた。このアップコンバージョン光の強度は、コア-シェル構造のUCNPにおいて飛躍的に増大することも明らかにした。今後は合成したUCNPの粒子特性を動的光散乱法、X線結晶構造解析法、透過型電子顕微鏡法などを用いて評価する予定である。合成したUCNPの表面はオレイン酸で被覆されているために生体応用が困難であるため、合成したUCNPの粒子表面を加工することで親水性UCNPの作製方法についても検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた、アップコンバージョンナノ粒子の合成に関する検討はおおよそ完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
アップコンバージョンナノ粒子の粒子特性評価および表面加工技術を用いた親水性UCNPの作成方法について検証する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗の都合により、UCNPの粒子特性評価について、次年度も引き続き遂行することとしたため。
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