2023 Fiscal Year Research-status Report
アップコンバージョンナノ粒子を基盤とした光線力学療法用製剤の開発
Project/Area Number |
21K07207
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
毛利 浩太 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (30723697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 茂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20322307)
向井 英史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 客員研究員 (60570885)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アップコンバージョン効果 / 無機ナノ粒子 / 光線力学療法 / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、長波長の光を短波長の光へ変換するアップコンバージョン効果を発揮するナノ粒子(UCNP)を合成し、その生体応用や医療応用を目指す。これまでに、solvothermal法を用いることで、アップコンバージョン効率の高いコア-シェル構造を有するUCNPの合成してきた。さらに、リン脂質を用いたコーティング法により、UCNP表面への水溶性の付与することでUCNPを水中に分散させることにも成功した。今年度は、リン脂質コーティングを施したUCNPの体内動態を評価した。しかしながら、リン脂質コーティングを施したUCNPは、マウス静脈内投与した直後にほとんどが肝臓に集積することが明らかとなった。そこで、PEG修飾によるリン脂質コーティングUCNPの血中滞留性の改善を試みた。しかしながら、PEG修飾量やPEG鎖長を変更したときにもリン脂質コーティングUCNPの劇的な血中滞留性の改善効果は認められなかった。次に、親水性ポリマーを用いたコーティング方法についても検討を試みた。その結果、親水性ポリマーによりコーティングを施すことでUCNPを水中に分散させることに成功した。この親水性ポリマーコーティングUCNPは。40 nm程度の均一性の高い粒子であり、表面電荷は-40 mV程度の負電荷を帯びていた。さらに、水中においても高いアップコンバージョン効果を発揮することも確認した。今後は親水性ポリマーコーティングUCNPの血中滞留性を改善することで、UCNPの生体応用の可能性を検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動もあり、一部の研究計画が未達成のため。
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Strategy for Future Research Activity |
UCNPの血中滞留性の改善方法を開発することで治療用のUCNP製剤を作製し、UCNPを基盤とした光線力学療法のがん疾患治療における有用性を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
・UCNPを基盤とした光線力学療法の動物実験による評価が未達成のため。 ・UCNP合成実験に必要な物品や動物実験に充てる予定。
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