2021 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫活性化核酸受容体による腫瘍免疫誘導メカニズム
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21K07208
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
種子島 幸祐 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 主席研究員 (20507678)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CXCL14 / CpG DNA / tumor immunity |
Outline of Annual Research Achievements |
ケモカインCXCL14は細胞遊走を誘導する一般的なケモカインの機能とは別に、Tlr9を介した自然免疫応答を誘導するCpG DNAと高親和性の複合体を形成し、その取り込み増強を介してCpG DNAの活性を大幅に増強する。本年度は、これらの活性が他のCXCケモカインにも存在することや、細胞表面受容体がクラスリン依存的なエンドサイトーシスにより取り込まれることで、取り込み増強が起こっていることをまとめた論文を発表した (Iwase et al (2021) J. Immunol.207:459-469)。この論文などにより、この活性を仲介する受容体の存在が予想されていたが、分子的な実態が明らかとなっていなかった。本年度は、発現スクリーニングを用いた研究成果から得られたCpG DNA/CXCL14複合体への結合分子を解析した。すると、CpG DNA活性を抑制する受容体と、促進性受容体が存在することが明らかとなった。抑制性受容体のKOマウスの樹状細胞はCpG DNAおよびCpG DNA/CXCL14複合体への反応性が増強しており、CpG DNAの活性を抑える働きがあることが示唆された。促進性の受容体は複数発現クローニングで単離されたが、中でも、複数のIg superfamilyに属する膜タンパク質は、CpG DNA/CXCL14複合体に親和性を示し、取り込みの増強を促進した。in vivoの実験に関しては、抑制性受容体のKOマウスに腫瘍を移植しても、野生型マウスと同様の腫瘍増殖を示したが、CpG DNAを投与した際には腫瘍の再増殖が有意に抑えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、CpG DNAおよびCpG DNA/CXCL14複合体に、抑制性受容体と促進性の受容体の二種類存在することが明らかとなった。これらの研究は、目標としているCpG DNAによる抗腫瘍効果を制御する新たなメカニズムを解明する端緒となる成果であり、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、受容体活性を持つIg superfamily遺伝子の一つをCRISPR/Cas9法を用いてノックアウトしたマウスを作出した。このマウスを用いて、CpG DNAの反応性を調べる予定である。抑制性受容体が存在することは、意外な点であったが、どのようにしてCpG DNAシグナルを抑制しているかについて、分子生物学的な解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ対策による学会や研究打ち合わせのオンライン化により旅費の差額が生じた。差額は、進捗が特に見込まれる受容体への抗体の購入費などの消耗品費として、来年度の予算へ組み込む
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