2022 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫活性化核酸受容体による腫瘍免疫誘導メカニズム
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21K07208
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
種子島 幸祐 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 主席研究員 (20507678)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / CXCL14 / CpG DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ケモカインCXCL14は細胞遊走を誘導する一般的なケモカインの機能とは別に、細菌などのDNAに多く存在する非メチル化CpG DNAと高親和性の複合体を形成し、その取り込み増強を介してTlr9活性を大幅に増強して自然免疫経路を活性化する。本年度は、これらの活性が黄色ブドウ球菌免疫に関連することをまとめた論文を発表した (Tsujihana et al (2022) PNAS 119:e2116027119)。これらのCpG DNA活性を制御する促進性受容体と抑制性受容体を単離して研究を進めてきたが、抑制性受容体のKOマウスのマクロファージでは、CpG DNAおよびCpG DNA/CXCL14の取り込みが低下しており、それにもかかわらずCpG DNAへの反応性は上昇していた。一方、促進性受容体はIg superfamilyに属する膜タンパク質に着目して研究を行っている。3種類のIg superfamily遺伝子の発現ベクターの導入により、HEK293T 細胞における CpG DNA-CXCL14 複合体のクラスリン依存性エンドサイトーシスが大幅に増加し、それぞれが実際に取り込み受容体として機能することが明らかとなった。また、膜表面のIg superfamily分子を特異的に蛍光染色する手法を確立し、CpG DNAとIg superfamily分子のtraffickingについて細胞生物学的に解析した。CpG DNAに結合する2つのIg superfamily 分子は、自発的に高い割合で内在化されており、CpG DNA とエンドソーム小胞で特異的に共存していることが明らかとなった。これらの結果は、複数の Igsf タンパク質が CpG DNA-CXCL14 複合体の取り込みに寄与していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、促進性受容体Ig superfamilyのCpG DNA細胞内送達の機構が明らかとなった。また、抑制性受容体の主に作用する細胞がマクロファージであることがわかった。これらの研究により、目標としているCpG DNAによる抗腫瘍効果の制御についての分子メカニズムが明らかとなってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、受容体活性を持つIg superfamilyのノックアウトマウスにCpG DNAを投与し、解析している。また、抑制性受容体のKOマウスに移植した腫瘍の遺伝子発現を調べることで、抑制性受容体の抗腫瘍効果の分子メカニズムを解明する予定である。
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Causes of Carryover |
参加学会が近接地であり、旅費が予定していた額よりも少額であったため、差額が生じた。物価の高騰などもあるため、次年度の物品費に組み入れる。
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