2023 Fiscal Year Annual Research Report
安全で有効かつ、いつでも誰でも使えるCAR-NK細胞療法の新規開発
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21K07213
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
今村 勝 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (80464006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 千速 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90419284)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CAR / CAR-NK / 細胞療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
キメラ抗原受容体(CAR)はがん細胞表面の特異抗原を認識する人工受容体で、CAR遺伝子導入T(CAR-T)細胞は白血病・リンパ腫に対して顕著な効果を発揮しているが、難治性固形がんに対しては有効性を発揮できていない。理由の1つにCAR-T療法に伴う重篤な合併症があげられる。固形がんの標的抗原は通常正常組織にも低レベルで発現していることから、安全性を担保しつつ、十分な効果を発揮させることが重要と考えられる。本研究では1)標的結合力を調整(減弱)した新規HER2-CAR遺伝子の新規開発;2)T細胞のかわりに安全域の広いNK細胞(CAR-NK)を用するために必要な諸工夫(膜型サイトカイン、改変EPO受容体などの追加)および同時発現ベクターの開発;3)臍帯血を利用し万人に対して迅速に作成可能なCAR-NK細胞作成プロトコール確立を行う。本研究は安全性の高い新規細胞療法の確立の端緒となり、さらに将来のoff-the-shelf製剤化の基礎データともなり得る。 研究期間において、新規HER2-CAR遺伝子の新規作成を行った。標的結合力を調整(減弱)した新規HER2-CAR遺伝子を作成する前に、通常の標的結合力をもつHER2-CAR遺伝子を新規作成した。細胞増殖が容易なT細胞に新規遺伝子を導入し、滑膜肉腫の細胞株に対して抗腫瘍効果を検討ところ、優れた抗腫瘍効果を示すことができた。次の段階として、新たに作成した新規遺伝子をNK細胞株であるKHYG-1細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入後、滑膜肉腫の細胞株であるSYO-1(4日間)とYamato-SS(2日間)を共培養し、抗腫瘍効果を検討した。SYO-1とYamato-SSともに新規遺伝子導入KHYG-1細胞は腫瘍効果を認めたが、コントロールとして作成した新規遺伝子を導入しなかったKHYG-1細胞との抗腫瘍効果に関する優越性は示せなかった。
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