2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of next generation Near Infrared Photoimmunotherapy
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21K07217
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 和秀 名古屋大学, 高等研究院(医), 特任助教 (20788658)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 近赤外光線免疫療法 / 癌微小環境 / がん免疫 / 光改変 / がん免疫チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
NIR-PITの現状はEGFRを発現した頭頸部がんが適応であり、今後の適応拡大を目指して、がん細胞の表面に高発現している抗原がない患者さんを対象として、腫瘍微小環境を光で改変することが可能な、PD-L1をターゲットとした次世代型の光励起治療を目指すのが本研究の目的である。 本研究では、がん細胞が臓器横断的に発現している免疫チェックポイント分子に注目し、がんの免疫逃避機構という共通の機構を応用することで、発現は程々で(低発現で)、臓器横断かつ転移部にも一定の効果を得ることができる次世代型の光がん免疫治療法開発を行うことが目的である。また、引き続いて起こる免疫反応の詳細を検討し、新しい光がん免疫療法の1つとしての機序確立を狙う。本研究を達成する事で、臓器横断的に効果のある革新的光治療法を開発し、発現に依存しない次世代光治療開発とその作用機構詳細解明を行う。 in vitroの検討では、EGFRなど高発現のがん細胞をターゲットとする場合と比べて、PD-L1の発現は少なく、効果は限定的であった。しかしながら、in vivoのマウス同種がん移植モデルでは、in vitroの結果からは推定できないほどの高い治療効果が得られた。10%の確率で完治する個体も得ることができた。 両側臀部腫瘍モデルでは、片側のみの光照射で、対側にも効果が見られた。in vivo イメージングにより、視覚・定量的に効果測定ができた。効果確定により、腫瘍特異抗原に依存しない新しい概念の光治療創生につながると考えている。光照射により、がん微小環境のがん免疫を抑制するMDSCの減少や、炎症によりさらにPD-L1の発現が増加することで、腫瘍微小環境を改変し、多大な抗腫瘍効果に繋がっている可能性を示唆する結果が得られている。現在、さらなる解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物モデルの立ち上げと治療効果の検討、またその効果メカニズムへの検討が終わっており、PD-L1の発現割合にひした多大な抗腫瘍効果を、癌微小環境を改変することにより得ることができている。これらのコンセプトは、近赤外光線免疫療法を次世代に移行する学術的な基礎となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、光による癌微小環境での微小小胞の変化や、免疫細胞変化など幅広く検討し、その革新的な効果を明らかにすることを検討しており、さらなる研究を継続する予定である。
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