2021 Fiscal Year Research-status Report
急性骨髄性白血病のエクソン・スキップ治療に向けた基盤的研究
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21K07218
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
坂下 暁介 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00397457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / エクソンスキップ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、細胞内におけるNPM1.1およびNPM1.3のスプライシング比率は、RT-PCRによるバンド強度の数値化により検討してきた。しかし、この方法では、intron7の一部を欠損した変異型NPMゲノムのスプライシング比率に再現性が認められなかった。このため、より鋭敏な検出手段が求められた。そこで、Taqmanプローブを用いたqPCRによりスプライシング比率を検討することにした。qPCRにおける増幅産物のサイズは、一般的に150~250bpとされているが、本研究では外来性のNPMゲノムからスプライシングされるNPM1.1とNPM1.3を別個に検出する必要があるため、増幅産物が500bpを超えてしまう。このため、これまでqPCRによる定量を避けてきた。しかし実際に500bp以上の増幅産物によりqPCRをおこなったところ、十分な定量性と再現性が認められたため、以降の研究ではqPCRを用いた検出に切り替えることとした。そこで、あらためてこれまでに得た結果をqPCRで確認した。293T細胞における内在性NPM1.1およびNPM1.3のスプライシング比率はそれぞれ90%(NPM1.1)と10%(NPM1.3)であった。これに対し、ヒトNPMゲノムのExon7~Exon12のゲノム領域を導入した際のスプライシング比率は95%(NPM1.1)と5%(NPM1.3)であり、当初の見積もりよりもNPM1.3の比率が低かった。一方、マウスNPMゲノムを用いた検討から、全長(Exon1~Exon12)を用いた場合のスプライシング比率は、内在性NPMとほぼ同じ程度の比率を示すことがわかった。このため、ヒトNPMゲノムに関しても、Exon7より更に遡れば、内在性NPMと同等のスプライシング比率を示すものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
クローニングしたNPMゲノムを発現ベクターに組み込んだDNAを293T細胞に導入した場合、NPM1.3の全NPM(NPM1.1+NPM1.3)に対すす比率は5%程度である。様々な変異型DNAを用いた場合は、そこから更に数値が低くなるが。研究を進めていくうちに、このような微妙な差を正確に数値化するためには、それまでNPMのスプライシング比率を評価する手段として用いてきた、ゲルのバンド強度の数値化では対応できないことが明らかになってきたことが一番の理由である。そしてその対応策としてqPCRを導入し、増幅サイズが大きくても、正確性には問題ないことを確認するまでに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞に導入するNPMゲノムのサイズは、ヒトの場合Exon7~12で11kbを超えている。このスプライシング比率を内在性NPMと近づけるため、Exon6まで遡ると、そのサイズは更に7kb以上増えることになり、現実的ではない。よって、更に上流をクローニングすることはせず、現状あるExon7~12をベースとして研究を進めていく方針である。今後は、NPM1.3に特異的なExon10の認識に必須な領域がExon10に存在するという仮説に基づき、必須領域の同定を試みる予定である。
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