2022 Fiscal Year Research-status Report
急性骨髄性白血病のエクソン・スキップ治療に向けた基盤的研究
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21K07218
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
坂下 暁介 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00397457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / エクソンスキップ |
Outline of Annual Research Achievements |
NPM1.3のスプライシングに携わる領域を同定しNPM1.3の選択率を上昇させる方法論の確立を目指した。NPM1ゲノムのうちExon7-Exon12 (約12kb)をクローニングし、mini geneベクターを作製した。このmini geneをヒト由来の293T細胞に導入すると、NPM1.1とNPM1.3の両方が発現した。mini geneから発現したNPM1.1とNPM1.3の比率(NPM比)を内在性NPM1のNPM比と比較すると、mini geneにおいてNPM1.3の選択率がやや低かったことから、NPM1.3の選択には今回クローニングしたExon7-Exon12の領域以外も関与する可能性が考えられた。しかしながら、ヒトNPM1ゲノムの全長は23kbに及ぶため、遺伝子導入効率の観点から、mini geneのサイズをこれ以上大きくするのは現実的ではないと考えた。そこで、クローニングしたExon7-Exon12の範囲内においてNPM1.3の選択に関与する領域を検討した。その結果、intron7とintron8のいずれかを欠損したmini geneではNPM1.3の選択効率の低下が見られ、intron7とintron8を両方欠損するとさらに低下することが明らかとなった。次にintron7 ( 約700bp)をいくつかにセクションに分割し、セクションごとに欠損させて、NPm1.3の選択効率への影響を検討したが、コントロールとの差は認められなかった。一方、Exon10を同様のアプローチでいくつかのセクションに分割したところ、欠損することによってNPM1.3の選択効率が上昇する領域を同定した。よってこの領域は、通常NPM1.3の選択に対して抑制的に作用するものの、欠損することによって抑制が解除されたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
選択的スプライシングによるNPM1.3の発現メカニズムが、当初の想定よりも広範囲にわたる領域からの影響を受けるものであった。このため、さまざまな領域が小さな貢献をすることによってNPM1.3型のスプライシングがおこなわれると考えられる。このような背景から、NPM1.3型スプライシングに強く関与する領域を特定する作業に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、NPM1.3の選択効率を上昇させ得る領域を同定した。しかし、その領域を利用したとしても、NPM1.3の発現レベルはNPM1.1には及ばない。この意味において、NPM1のスプライシングの傾向に影響を与えるには至っていない。そこで、今後の研究方針として、転写されたpre-mRNAを、Exon10以降の適当な領域において物理的に切断し、強制的にスプライシングの流れを変更する可能性を検討する予定である。
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