2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of metabolic factors to inhibit tumor-specific p53 gene therapy in pancreatic cancer
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21K07219
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田澤 大 岡山大学, 大学病院, 准教授 (90415513)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵臓癌 / 代謝サブタイプ / p53 / アデノウイルス / 個別化治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子変異に応じたゲノム医療は癌患者に最適な個別化治療を提供することが期待されている。しかし、KRAS/p53変異膵臓癌への治療法は未だ確立していない。申請者は癌特異的にp53を誘導するアデノウイルス製剤OBP-702を開発し、KRAS/p53変異膵臓癌細胞の腫瘍増殖を抑制することを明らかにし、臨床応用を進めている。しかし、膵臓癌細胞には解糖系と非解糖系の代謝サブタイプが存在し、アデノウイルスに対する感受性が代謝サブタイプによって異なることが示唆されている。 本研究では、解糖系と非解糖系のヒト膵臓癌細胞を用いてOBP-702に対する感受性を阻害する代謝関連因子を網羅的に解析し、代謝調節剤を併用することでOBP-702抵抗性を改善する最適なOBP-702個別化治療の開発を行う。 令和3年度は、解糖系のヒト膵臓癌細胞株2種類(MIAPaCa-2、PK-45H)と非解糖系のヒト膵臓癌細胞株2種類(PK-59、Capan-2)における代謝関連因子の発現をウェスタンブロット法で解析し、解糖系のヒト膵臓癌細胞は非解糖系に比べてLDHA、IDH1、GOT1の発現レベルが高いことを確認した。次に、OBP-702に対する感受性をXTTアッセイで解析し、解糖系のヒト膵臓癌細胞は非解糖系に比べてウイルス感受性が高いことを確認した。ウイルス感受性の違いはp53非搭載型のアデノウイルス製剤OBP-301でも同様の結果であった。ウイルス感受性の違いのメカニズムを明らかにするために、細胞表面のウイルス受容体やインテグリンの発現をFACS法で解析したが、大きな違いは認めなかった。一方、ウイルス感染後のE1Aの発現をウェスタンブロット法で解析し、解糖系のヒト膵臓癌細胞は非解糖系に比べてE1Aの発現レベルが高いことを確認した。以上より、代謝関連因子がウイルスの複製効率に大きく関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、代謝サブタイプの異なる4種類のヒト膵臓癌細胞株を用いてウイルス感受性が大きく異なることを確認した。ウイルス感受性の違いがウイルスの感染効率よりウイルスの複製効率による可能性を突き止め、代謝関連因子がウイルスの複製効率に影響を及ぼす可能性が示唆されることから、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、解糖系のヒト膵臓癌細胞株2種類と非解糖系のヒト膵臓癌細胞株2種類を用いてウイルス感染後のE1A遺伝子の発現レベルをPCR法で確認する。ウイルス感染後のp53、アポトーシス、オートファジーの誘導変化はウェスタンブロット法で解析する。また、様々な代謝調節剤で処理した場合のウイルス感受性の変化をXTTアッセイで解析する。代謝調節剤の処理による代謝関連因子やウイルス関連因子の発現変化はウェスタンブロット法やPCR法で解析する。
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Causes of Carryover |
ウイルス感染後のアポトーシスやオートファジーの誘導効果をウェスタンブロット法で確認するために関連する抗体の購入を予定していたが、次年度にp53や代謝関連因子の発現変化と一緒に解析するために関連する抗体の購入に繰り越した研究費を使用する予定である。
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Research Products
(5 results)