2022 Fiscal Year Research-status Report
Hippo経路分子MOB1に着目したEGFR変異陽性肺癌の新規標的治療法開発
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21K07220
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 謙太郎 九州大学, 医学研究院, 准教授 (00536849)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | EGFR遺伝子変異陽性肺癌 / Hippo-YAP経路 / Serum deprivation / Apoptosis |
Outline of Annual Research Achievements |
EGFR野生型及び変異型肺癌細胞株を用いて、Hippo-YAPシグナル分子のタンパク発現レベルを網羅的に評価したところ、EGFR変異型細胞株ではYAP発現量が多い傾向にあった。次に代表的な増殖刺激であるEGF刺激下のYAP活性化を評価したところ、EGFR変異細胞株でYAPリン酸化の有意な低下が観察される一方、野生型ではYAPのリン酸化はむしろ増強した。 EGFR変異型肺癌細胞株では、EGF刺激下におけるYAPの過剰な活性化が認められたことから、野生型及び変異型EGFR過剰発現非小細胞肺癌細胞株を樹立し、Hippo-YAP経路の動態や細胞の増殖能を評価した。有血清条件下では、YAPの蛋白発現量と細胞増殖にEGFR変異型と野生型で差が認められなかったが、無血清条件を誘導するとEGFR変異型でのみYAPの蛋白発現が増加し、EGF刺激によるYAP活性化が認められた。加えて無血清条件下のEGF刺激により、EGFR野生型細胞株ではアポトーシスによる細胞死が生じたが、EGFR変異型細胞株はアポトーシス耐性であり、抗アポトーシス関連タンパクの発現が上昇した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度前半での論文投稿、及び公開を予定しており、3年での研究完了と結果の発表が十分見込める状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
siYAPの導入により、EGFR変異型細胞株で認められた無血清下EGF刺激によるアポトーシスへの耐性が消失するかフローサイトメトリーにて評価するとともに、抗アポトーシス関連たんぱく質の消失も評価する。次にこれらアポトーシス関連タンパクの誘導に影響するシグナルについて、EGF刺激下に存在するSTAT1/3, MAPK, PI3Kのシグナル解析を実施し同定する。最後に同シグナル経路下流の転写因子が、抗アポトーシス関連タンパクのプロモーター領域に結合するか、クロマチン免疫沈降法を用いて評価する。
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