2023 Fiscal Year Annual Research Report
革新的治療法開発を目指した膵癌のKRAS遺伝子変異subtypeの網羅的解析
Project/Area Number |
21K07221
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
近本 亮 熊本大学, 病院, 教授 (10419640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 浩太 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (10792616)
林 洋光 熊本大学, 病院, 講師 (80625773)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵癌 / KRAS遺伝子点突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、膵癌におけるKRAS遺伝子点突然変異subtypeの特徴を明らかにし、網羅的なトランスクリプトーム解析を行うことで既存薬が有効なsubtypeを同定することを目的とする。膵癌は最も難治性の消化器癌の1つであり、有効な抗がん剤治療は数少なく、効果も乏しいのが現状である。一方で、膵癌の90%以上はKRAS遺伝子変異を有する癌であり、数あるがんの中でも特にKRAS遺伝子変異が発癌・進展において極めて重要な役割を担っている可能性が高く、KRAS遺伝子変異のメカニズム解明によって最も恩恵を受ける癌の1つである。Undruggableと評価されたKRAS遺伝子の点突然変異subtypeの分子メカニズムの違いを明らかにすることにより、膵癌の新たな治療戦略となりうる。KRAS遺伝子下流の各種増殖シグナルには関連した既存薬が存在するため、ドラッグリポジショニングによる迅速な臨床応用が可能である。Translational researchとして大きな意義を持つと考えられる。 オルガノイド構築にやや難渋しており、目的の表現系評価まで至れていない。並行して臨床検体サンプルの整理、databaseのupdateを行い、遺伝子変異解析準備を行なっている。臨床検体サンプル整理およびdatabase updateの過程で、周術期における輸血が術後生存期間に与える影響、根治切除術後早期再発因子に関する検討、術後合併症と早期再発に関する検討を行い、臨床的に有益な結果と思われ、論文として報告した。 引き続き膵癌細胞株を用いた表現系の評価や膵癌組織由来オルガノイドを用いた表現系の評価、膵腫瘍モデルマウスを用いたin vivoにおける評価、および臨床検体を用いた膵癌におけるKRAS遺伝子点突然変異の評価と予後解析解析を行い、KRAS遺伝子点突然変異subtypeの特徴を明らかにしていく。
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