2022 Fiscal Year Research-status Report
幹細胞様CD8T細胞を起点とする腫瘍内T細胞分化の理解に基づくがん免疫療法の開発
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21K07234
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
那須 亮 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (30466859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩立 康男 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70272309)
本橋 新一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (60345022)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん免疫 / CD69 / 幹細胞様CD8T細胞 / 腫瘍内T細胞分化 / 所属リンパ節 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、がん免疫療法が有望視されている。免疫療法の抗腫瘍効果が発揮されるためには、幹細胞様CD8T細胞を起点とする腫瘍内T細胞分化が滞りなく進行し、細胞傷害活性を持つ分化型CD8T細胞が効率良く生成されることが重要である。本研究は主に、CD69が制御する幹細胞様CD8T細胞の維持と分化のメカニズムを明らかにすることを目的とした。 CD69野生型およびCD69欠損担がんマウスの腫瘍組織から腫瘍特異的CD8T細胞を分取して1細胞RNA-seqを行った結果、CD69欠損マウスにおいては幹細胞様CD8T細胞から分化型CD8T細胞への分化が促進されていることを見出した。 所属リンパ節は、抗腫瘍CD8T細胞応答の始まりの場であることが知られている。所属リンパ節に局在する腫瘍特異的CD8T細胞はCD69を発現していることから、所属リンパ節に着目した解析を行った。CD69野生型およびCD69欠損担がんマウスの所属リンパ節から腫瘍特異的CD8T細胞を分取して1細胞RNA-seqを行った結果、CD69欠損マウスにおいては幹細胞様CD8T細胞から分化型CD8T細胞への分化が促進されていることを見出した。従って、CD69は所属リンパ節において腫瘍特異的CD8T細胞の分化運命を決定していると考えられた。 CD69の分子機能を調べるために、腫瘍組織および所属リンパ節の腫瘍特異的CD8T細胞を対象とした網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、CD69欠損マウスにおいては、TCR刺激によって誘導される遺伝子の発現が低下していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD69野生型およびCD69欠損担がんマウスの腫瘍特異的CD8T細胞を分取して1細胞RNA-seqを行い、CD69が幹細胞様CD8T細胞の維持に重要であることを明らかにした。さらに、所属リンパ節の腫瘍特異的CD8T細胞を分取して1細胞RNA-seqを行い、CD69が所属リンパ節における幹細胞様CD8T細胞の維持にも重要であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は所属リンパ節と腫瘍組織の腫瘍特異的CD8T細胞の関連性に着目した解析を行う。さらに、抗CD69抗体、抗PD-1抗体および両者の併用投与を行ったマウスから腫瘍特異的CD8T細胞を分取して1細胞RNA-seqを行い、抗体投与による抗腫瘍効果のメカニズムを解析する。
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Causes of Carryover |
当該年度での支出を見込んでいた雑誌掲載費用が次年度に持ち越しとなったため
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