2023 Fiscal Year Research-status Report
Functional assay to estimate the significance of variants in CDKN2A gene detected in cancer genome testing
Project/Area Number |
21K07248
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
下平 秀樹 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (70373214)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CDKN2A / バリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はCDKN2A遺伝子バリアントを乳癌細胞株に発現し機能評価系を構築することと、発現したCDKN2A遺伝子バリアントの機能レベルとCDK4/6阻害薬への反応の相関性を検討し、CDKN2A遺伝子の機能評価がCDK4/6阻害薬のバイオマーカーとなり得るかを検討することにある。今後は、培養細胞株の機能評価系構築が課題である。まず、CDKN2A遺伝子の機能解析のためには、CDKN2Aの機能が欠損をしており、RB1遺伝子に病的バリアントがなく、ホルモン感受性乳癌細胞株細胞株が望ましい。ホルモン受容体陽性乳がん細胞株のうち、MCF7はCDKN2A遺伝子が欠失し、MDA-MB-134, MDA-MB-361, T47D細胞ではCDKN2A遺伝子がエピジェネティックに不活化され、いずれもRB1遺伝子は正常である。しかし、CDK4/6阻害薬のalpelisibはMCF7細胞よりもT47D細胞において、より感受性が高いことが知られているため、T47D細胞を優先して使用することとした。CDKN2Aを正常に発現しなおかつRB1遺伝子が正常なコントロール細胞として、MDA-MB-157があげられるが、ホルモン受容体が陰性であり、CDK2A遺伝子の発現を確認する上での陽性コントロールとしては使用可能であるが、CDK4/6阻害薬の感受性を検討する段階でのコントロールには不向きかもしれない。そこで、T47D細胞、MCF7細胞、MDA-MB-157細胞をATCCより購入した。これらの細胞にCDKN2A遺伝子をリポフェクションにより導入し、CDKN2Aタンパクの発現およびRBタンパクのリン酸化レベルをウェスタンブロッティングにより解析中である。また、パルボシクリブを試薬として購入し、細胞株に投与し、MTTアッセイを行う準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究はやや遅れ気味である。当研究室は病院業務を兼任する臨床系の教室であるがスタッフが3名しかおらず、診療や臨床実習などの教育を行うとかなり時間を取られるため、研究の時間が十分とれないのが問題である。2024年6月に第30回日本遺伝性腫瘍学会を会長として、開催することが決まっており、それらの準備に時間を取られていることも挙げられる。新規の入局者や大学院生の加入がなく、研究の底上げができないことも深刻な問題である。研究方針の変更も含めて検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
CDKN2A遺伝子のバリアントを多数作成する計画はであったが、バリアントの種類は厳選する必要が生じている。臨床の現場で必要とされている情報は何であるかを考えながら、本当に役に立つ結果を蓄積するように心がける。また、CDKN2Aの簡便な機能評価系を構築する方針であったが、確実なRBタンパクのリン酸化レベルの評価に限定して、着実に進めることを優先する必要がある。できるだけ、1回の実験で多数の標本を扱い、時間短縮、労力の節約を考え、効率的に進めることにより、遅れを取り戻す予定である。
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Causes of Carryover |
前年度は、出芽酵母を使用した実験が中心であり、あまり費用が掛からない状況であったがことと、2024年5月31日-6月1日開催予定の第30回日本遺伝性腫瘍学会学術集会の開催準備で、時間を取られ、研究を進捗させることが困難であったため、次年度使用額が発生した。本年度は、細胞培養を中心とする段階に移行して、様々なキットや外部委託が必要となるため、計画的な研究費の使用が可能と考える。
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