2021 Fiscal Year Research-status Report
低侵襲でハイスループットな悪性中皮腫の早期診断法の確立
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21K07250
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
吉川 良恵 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10566673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 和恵 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80724806)
江見 充 兵庫医科大学, 医学部, 特別招聘教授 (90221118)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 悪性中皮腫 / ゲノムコピー数解析 / 予後予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性中皮腫(malignant mesothelioma: MM)は極めて予後不良の腫瘍でありが、その変異は、塩基配列レベル変異は少なく、技術的に捉えにくい微小欠失が複数個所で起こりchromothripsis like patterns(CTLP)が生じている。このような変化を捉えるため、新規手法digital MLPA を開発してきたが、MM 用に改良する必要があった。NF2やLAST2遺伝子、ゲノム再構成が生じやすい染色体領域のプローブを増やし(384→470 probes)、version upした。それにより13q 搭載のRB1遺伝子にもCTLPが捉えられた。 digitalMLPA法の検証として、腎細胞がんのコピー数変化(CNA)と患者予後との関連解析を実施し、1年内に転移が生じた予後不良の患者由来の腫瘍ではCNAが多いことを報告した。同様の検討をMMでも実施したが、MMでは非腫瘍細胞との混在例が多く外科手術摘出検体中の腫瘍含量が低く、100検体解析したが約1/3でCNAが全く検出されなかった。CNAが検出されたケース中には、同一染色体腕中にサブクローナルな変化も生じたと思われる複雑な多段階変化が見られた。予後の良い患者腫瘍では、CNAが少ない傾向はみられたが、検体中の腫瘍含量を上げサブクローナルな変化を捉える必要性を感じた。そこで、FFPE検体から腫瘍細胞を切出し、digitalMLPA解析を試みた。同一スライド切片上の腫瘍と腫瘍からできるだけ離れた非腫瘍(例えばリンパ球)を単離した。非腫瘍部を対象として腫瘍のCNAを求めたところ、3p21領域やCDKN2A遺伝子の欠損が捉えられた。また遺伝子内の多段階変化はreal-time PCRにて検証できた。上述のdigitalMLPAの改良が2021年度の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MLPA (Multiplex ligation-dependent probe amplification)とNGS解析を組合せたdigitalMLPA解析の改良は順調に進んだ。しかし、リキッドバイオプシー検体の前処理工程の検討ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、同一スライド切片上の腫瘍と非腫瘍の比較であれば、10年近く保存したFFPE検体でもCNAが捉えられることを確認できた。しかし、MMは非腫瘍細胞中に散在するケースも多く、解析に必要な50 ng DNA(現状1解析に20 ng以上要、n=2で解析)を回収するだけの腫瘍と非腫瘍部を採取するのが困難な場合も多い。本解析は、塩濃度,ゲノム断片化の影響を受けやすいが、精製によるDNAロスを避けるため粗抽出DNAを用いてdigitalMLPA解析を実施するなど検討しており、解析精度を低下させず、所要DNA量を下げるため、ライブラリ調製工程も改良する必要がある。 これらの検討後、CTLPとMM悪性化・予後不良との関連性や、免疫チェックポイント阻害剤の有効性との関連解析を実施する。 2021年度はリキッドバイオプシー検体の検討ができなかったので、取り組みたい。変異解析が可能な検体処理法を開発し、digital MLPA とターゲットシーケンスによりMM の変異を捉える。それにより、MM 患者の早期発見、再発モニタリングを実現可能な手技を開発する。その過程でゲノム不安定性を誘発可能な標的分子が見つかれば、治療法開発につなげる。
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Causes of Carryover |
本課題と同様、悪性中皮腫プロジェクトについて学内の助成金が獲得できた。両プロジェクトに共通して使用する検体から核酸抽出などの作業を行う研究支援員の人件費や備品代に充当できたため、本課題に計上していた人件費や物品費を減らすことが可能であった。次年度にNGS解析等に必要な物品費に充当し、研究を進展させる予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Risk prediction for metastasis of clear cell renal cell carcinoma using digital multiplex ligation-dependent probe amplification2022
Author(s)
Yoshie Yoshikawa, Yusuke Yamada, Mitsuru Emi, Lilit Atanesyan, Jan Smout, Karel de Groot, Suvi Savola,Yukako Nakanishi-Shinkai, Akihiro Kanematsu,Michio Nojima, Masaki Ohmuraya, Tomoko Hashimoto-Tamaoki, Shingo Yamamoto
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Journal Title
Cancer Science
Volume: 113
Pages: 297-307
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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