2021 Fiscal Year Research-status Report
Basic evaluation and investigation of the factors linked to the long term response to immunotherapies
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21K07252
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
小山 正平 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (80767559)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害薬 / 末梢血T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、非小細胞肺がんを中心に、免疫チェックポイント阻害薬を投与された症例において、治療の効果が認められるか認めれらないか、さらに効果が得られた場合に長く持続するか持続しないかという観点から、腫瘍局所のT細胞と末梢血中のT細胞を網羅的解析によって比較しながら、その違いをバイオマーカーとして応用することを目的としている。 本年度は、非小細胞肺がんに対して免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体単剤治療を受けた患者から、治療前に回収した気管支肺胞洗浄液及び末梢血を用いて解析を行った。細胞成分としてT細胞を中心とした免疫細胞の解析および液性成分として気管支肺胞洗浄液上清・血漿のサイトカインの解析を実施したところ、奏功例(長期奏功含む)では、1)末梢血CD8陽性T細胞上のCD56発現、2)気管支肺胞洗浄液上清中のCXCL9が非奏功例と比較して有意に高いことが明らかにした。さらにその背景因子として、気道内細菌叢の影響が示唆され、JCI Insightに報告した。また、非小細胞肺がんにおいて免疫チェックポイント阻害薬の効果が得られにくいことが報告されている肝転移について、原発と比較して多重免疫染色を用いて評価した。特に抗PD-1/L1抗体に対して非奏功との関連が高いとされるPD-1陽性制御性T細胞の浸潤が、肝転移巣においては原発巣と比較して有意に増加していることを明らかにした。またその原因として、肝転移巣における解糖系の亢進・乳酸産生の増加が寄与していることを示し、Cancer Cellに報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述のとおり本年度は、非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の治療奏功と非奏功に関わる因子として、末梢血CD8陽性T細胞上のCD56発現だけでなく、新規性の高いバイオマーカーとして気管支肺胞洗浄液上清中のCXCL9を明らかにすることが出来た(JCI Insightに報告した)。さらに、同じく非小細胞肺がんの肝転移巣と原発巣を比較したところ、PD-1陽性制御性T細胞の浸潤が、肝転移巣において特に多く誘導されていること、またそれが肝臓という臓器の特徴的な代謝環境によって誘導されていることを新たな知見として解明することが出来た(Cancer Cellに報告した)。以上の2点を明らかにすることが 出来たため(1)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
非小細胞肺がんの免疫チェックポイント阻害薬治療に関して、本年度だけですでに3種類のバイオマーカーを明らかにすることが出来た。しかしながら、腫瘍浸潤T細胞と末梢血T細胞の1細胞レベルでのT細胞受容体の類似性とそれを特徴づける細胞マーカーという観点からの研究は継続して進めている段階で、いくつかの候補に関して検証実験の段階に入っている。非小細胞肺がんだけでなく、悪性黒色腫に関してもデータを解析している段階のため、本研究期間内に特に長期奏功に関連するバイオマーカーの発見を目指す。
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Causes of Carryover |
消耗品購入の際に使用金額の端数が生じてしまったため。研究計画への影響はありません。
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[Journal Article] Bronchoalveolar lavage fluid reveals factors contributing to the efficacy of PD-1 blockade in lung cancer2022
Author(s)
Masuhiro K, Tamiya M, Fujimoto K, Koyama S, Naito Y, Osa A, Hirai T, Suzuki H, Okamoto N, Shiroyama T, Nishino K, Adachi Y, Nii T, Kinugasa-Katayama Y, Kajihara A, Morita T, Imoto S, Uematsu S, Irie T, Okuzaki D, Aoshi T, Takeda Y, Kumagai T, Hirashima T, Kumanogoh A.
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Journal Title
JCI Insight.
Volume: Online ahead of print.
Pages: X,X
DOI
Peer Reviewed / Open Access