2021 Fiscal Year Research-status Report
島皮質と食欲関連視床下部神経細胞群による摂食行動調節機構の解析
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21K07261
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
楠本 郁恵 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (80724757)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食欲 / ストレス / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、摂食行動に強く関連することがこれまでの研究で示唆されてきた視床下部のニューロンについて、遺伝子改変動物やウイルスベクターを活用することによって、動物が摂食関連行動を起こしている瞬間に活動していたニューロンをターゲットとし、その機能的な役割を明らかにすることを目標としている。 初年度は、視床下部を活性化させることが知られている、摂食関連行動以外のイベントで活性化されたニューロンと対比させることで、解剖学的に、摂食行動に関連して活性化されたニューロンを観察し、その種類を明らかにすることを目指した。2種類の異なる条件で活動していたニューロンを、同じ動物個体で観察するために、cfos-tTAマウスとtTA依存的にGFPを発現するマウスを掛け合わせたマウスを使用し、条件1ではGFPで活動ニューロンをラベルし、条件2では免疫染色によって活動ニューロンをラベルすることにした。そして、同じマウスで、異なる条件で活性化されたニューロンの分布を観察した。 今回は、特に、視床下部ニューロンの中でもオレキシンニューロンに着目した観察を行ったが、ごく一部のオレキシンニューロンのみで、2つの条件ともに活性化されたニューロンが観察され、条件1のみ、条件2のみ、と条件依存的に活性化されているニューロンが区別されていることを示唆するデータが得られた。多種のニューロンが存在する視床下部の中の、オレキシンニューロンという1種類のタイプのニューロンのみの結果ではあるが、同一個体内での比較が可能になったことは、今後の研究の発展につながる大きな成果だと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、条件1として、摂食関連行動を起こしているときに活性化されていたニューロンのラベリング、条件2として、ストレス負荷時に活性化されていたニューロンのラベリングを、同一個体で確認することを試みた。そして、遺伝子改変技術を応用することで、同一個体内で、2種類の条件下で活性化されたニューロンの可視化に成功し、オレキシンニューロンのみに限って観察すると、ごく一部のニューロンのみが、2種類の条件でともに活性化していることを明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に行った実験結果より、特に、視床下部ニューロンの中でもオレキシンニューロンに着目した観察を行ったが、ごく一部のオレキシンニューロンのみで、2つの条件ともに活性化されたニューロンが観察され、条件1のみ、条件2のみ、と条件依存的に活性化されているニューロンが区別されていることを示唆するデータが得られた。今回の研究で用いている遺伝子改変動物は、特定のタイミングで活性化されたニューロンをラベルすることを優先しているため、細胞種は、オレキシンニューロンのみに限定できない弱点がある。そのため、視床下部に存在することが知られている、他の種類のニューロンについても、可能な限り、各条件下での活性化の様子を観察する必要がある。これは、既存のサンプルを用いて検証可能であるため、すぐにでも検証していきたい。そして、各条件下で活性化されたニューロンを、自由行動下のマウスで活動操作することで、特定の行動表出が起こるかどうかを検証したい。
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Causes of Carryover |
所属大学の決算年のため、2月末までに使用した分しか計上できなかったため。実際には、3月開催の学会参加と3月更新のソフトウェアの使用等の利用があり、それらの支払いに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)