2023 Fiscal Year Annual Research Report
逃避/攻撃行動のスイッチングに関わる神経回路について
Project/Area Number |
21K07265
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
高田 美絵子 (森島美絵子) 同志社大学, 脳科学研究科, 准教授 (30435531)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 扁桃体 |
Outline of Annual Research Achievements |
「逃避か攻撃かを選ぶスイッチングに関わる神経回路の解明」を研究課題として、視床下部腹内側核に投射する腕傍核神経細胞を中心とした神経回路に着目し、逃避/攻撃行動のスイッチングに関わる情報処理システムについて明らかにすることを目指した。視床下部腹内側核は摂食に関わり、満腹中枢としても知られていたが、情動に関わることが近年明らかになっている。腕傍核から視床下部腹内側核へは軸索を介してストレスや脅威の環境下で生命維持に必要な情報が送られている。一方で、腕傍核は扁桃体中心核にも軸索を投射し、嫌悪等の情動に関与した情報を送ることが知られている。そこで腕傍核、視床下部腹内側核および扁桃体の神経回路ネットワークが逃避か攻撃かのスイッチングに関わる神経回路について明らかにしたいと考えた。まず、腕傍核から視床下部腹内側核へ軸索を投射する神経細胞タイプについて、分子マーカーや、腕傍核内での局在など、解剖学的な観点から調べた。その結果、腕傍核から視床下部腹内側核へ軸索を投射する神経細胞は、腕傍核内にランダムに存在するのではなく、特異的な局在パターンをもつことなどがわかった。一方で、扁桃体中心核から腕傍核への軸索投射は、扁桃体中心核の出力部だけでなく、腕傍核から興奮性入力を受ける中心核外側部からも出力していることが明らかにした。次に、扁桃体中心核へは腕防核からだけでなく、外側扁桃体からも興奮性入力を行うことに着目し外側扁桃体の興奮性神経細胞について調べた。嫌悪学習への応答が異なる2タイプの興奮性神経細胞があり、情報処理システムが異なることを明らかにした (Morishima et al., 2023)。これらの興奮性神経細胞が逃避行動の情報処理にどのように関わるかについて研究の発展が期待される。
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