2021 Fiscal Year Research-status Report
The role of RTP4 and MOPr-DOPr heteromer in chronic pain regulation
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21K07275
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 和歌子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30382328)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | RTP4 / リポポリサッカライド / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2 種類のオピオイド受容体からなる MOPr-DOPr ヘテロ二量体とその制御分子 RTP4 の、難治性疼痛に対する新しい治療標的としての役割を解明することである。慢性疼痛病態における MOPr-DOPr ヘテロ二量体の生体内制御機構を、その制御分子 RTP4 の役割と関連付ける。「知覚神経の損傷に伴うインターフェロンの産生等によって、知覚神経細胞内では受容体シャペロン分子 RTP4 を介したMOPr-DOPr ヘテロ二量体の誘導が促され、疼痛を抑制できる」という仮説を、細胞生物学、行動薬理学的解析から検証する。これらの分子の作用解明が、新規かつ安全な治療薬開発に寄与する。 本年度は、炎症性刺激が脳内マクロファージ細胞であるミクログリアの RTP4 に及ぼす影響の解析を試みた。In vitro 炎症性刺激として知られる リポポリサッカライド(LPS)を用い、株化ミクログリア細胞である SIM-A9 細胞を刺激すると、24時間以内に RTP4 の遺伝子誘導が生じた。この作用は Toll like receptor 4 (TLR4) の中和抗体や インターフェロン受容体の中和抗体(IFNR-Ab)で抑制された。同細胞において LPS の刺激下では、IFN-alpha には変化はなかったが、IFN-beta の発現増加が認められており、炎症性刺激によって生じた IFN-beta を介して RTP4 の誘導が生じたと考えられる。補足検討として、各種細胞内シグナル分子阻害剤を用いた RTP4 誘導に関する薬理学的検討も行い、JAK が部分的に LPS 刺激下での RTP4 誘導に関することも示された。今後は、IFN と RTP4 を介した MOPr-DOPr ヘテロ二量体の発現変動などにも注目して検討を重ね、in vivo での検討に繋げたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミクログリア細胞における in vitro での検討を重ねているが、RTP4 の発現変動のみ解析できており、MOPr-DOPr ヘテロ二量体の変動については未解明である。研究中断はしなかったが、11月から4月まで産休・育休を取得したために、予定したよりも研究の進度が遅れ、遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro の 予備検討から、用いているミクログリア細胞に オピオイド受容体 の発現が少ない可能性が懸念されたため、用いる細胞の種類などの実験条件も見直す予定である。また、In vivo での検討として、疼痛モデル動物を作成し、脊髄や DRG における RTP4, MOPr-DOPr ヘテロ二量体の変化について捉えていきたい。
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Causes of Carryover |
2021年11月から2022年4月まで産休及び育休を取得したため、その期間の未使用額が生じた。次年度の in vitro 及び in vivo での検討に用いる消耗品等の購入に利用する。
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