2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K07276
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中垣 岳大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (80722917)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 孤発性クロイツフェルトヤコブ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
孤発性クロイツフェルトヤコブ病(sCJD)MM1型患者由来の脳乳剤にアルカリ水溶液(CAC717)を加えると異常型プリオンタンパク(PrPSc)が減少する。3F4抗体(エピトープ a.a.109-112)、ICSM18(a.a.143-156)、抗humanPrP Cterm抗体(a.a.214-228)の3種類の抗体を用いてウエスタンブロット法でその減少の程度を検証したところ、3F4のエピトープで90%以上減少するが、他の2抗体のエピトープは75%程度の減少にとどまるもの(パターン①)、他の2抗体のエピトープが80%以上減少するが、ICSM18のエピトープの減少が50%程度にとどまるもの(パターン②)、C末端抗体のエピトープが80%程度減少するが、他の2抗体では60%程度の減少にとどまるもの(パターン③)の3つの反応パターンがあることが分かった。また、パターン①、②、③の順に経過が長くなる傾向が認められた。そこで、MM1型の症例を増やし、同様の現象が認められるか検証した。ICSM18抗体の入手が困難であったため、エピトープが近い抗体(POM1)を代わりに使用している。 今回検証した6症例では1-2か月と短い経過をたどった2症例がパターン①の反応を示し、39か月の症例はパターン②の反応を示した。パターン③に近い反応性を示した症例が1例認められた。本症例は経過が1か月と短いが、発症年齢が92歳と非常に高齢であった。 これらの結果から、MM1のPrPScが単一ではなく、症例間で異なる可能性があること、PrPの性質が加齢や長期の病期経過によって変化する可能性がある。 今後も同様の検討を続け、経過や発症年齢とPrPScの特性を検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例数を増やして検証したところ、これまでの仮説に比較的近い結果が得られた。ただし、最初に使用していたICSM18抗体の入手が困難になり、他の抗体を使用する必要が生じたため、その検証が必要になった。そのため、思ったほど症例を増やすことができなかった。また、ウエスタンがうまくいかず、再検討が必要な症例も存在した。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ検討していないMM1型の症例についてウエスタンブロット法による検証をする。さらに、グアニジンなどの変性剤やプロテアーゼに対する反応性の違いも検討する。また、ウエスタンブロット法だけでなくRT-QuIC法での反応性の違いも検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行によって学会や打ち合わせがリモートになり、出張費が不要になった。また、一部入手が困難な試薬があったため、予定より出費が少なくなった。これらの予算は試薬の購入(抗体、リコンビナントタンパク作製用試薬など)や延期になった学会や打ち合わせの旅費として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)