2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K07276
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中垣 岳大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (80722917)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 孤発性クロイツフェルトヤコブ病 / プリオン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は4例の孤発性CJD MM1患者由来の脳乳剤をテラヘルツ水(CAC717)で処理すると、同じMM1型でも、異常型プリオンタンパク(PrPSc)が減少するパターンが異なる事を見出した。ウエスタンブロット法で3F4抗体(エピトープ 109-112)を用いて検出した際に90%程度減少するパターン①(3例)と50%程度しか減少していないパターン②(1例)である。この結果から、我々はMM1型の中にも異なるプリオンが存在する、もしくは病期によってプリオンが変性していくのではないかと考えた。 そこで今回、新たにMM1型の10例を同様の方法で検証した。 検証した10症例には純粋なMM1、MM1にMM2が少し混在するもの、MM1とMM2が同程度混在するものが存在していた。また、これらの症例の病期(発症から死亡まで)は1か月から半年以上のものまで多岐にわたっていた。しかし、いずれもCAC717処理によって3F4抗体のエピトープが90%程度減少しており、パターン①に分類された。つまり、CAC717に対する反応性の違いは病理像や病期によるものではない可能性が考えられる。ここまで14症例を検証してきたが、パターン②を示す症例は今のところ1例しか見つかっていない。つまり、パターン②を示すMM1型というのはマイナーなプリオンである可能性が考えられる。 今後、新たな評価方法でパターン①と②を比較する必要がある。その一つとして、変性剤グアニジン塩酸塩に対する耐性の違いを検証する方法がある。今回はマウスプリオン(22L株)を塩酸グアニジン処理して基礎実験を行い、塩酸グアニジンによるアッセイ方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトプリオンの異常型プリオンタンパクの量に個体差が大きく、検証が難しい症例が多いため、ウエスタンの条件を見直している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も症例数を増やしながら検証する。また、グアニジンなどの他の評価方法をヒトサンプルでも検証する。 これらの検証で検体をグループ化して、マウスや試験管内での伝播実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために2021年度からの繰越金が多かったことと、2021年度に購入した消耗品で実験を行うことができたため、繰越額が発生した。 次年度は人件費に加えて消耗品、動物実験などにも使用する予定である。
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Research Products
(8 results)