2021 Fiscal Year Research-status Report
次世代ヒトプリオン増幅法の構築とヒトプリオン病創薬スクリーニングへの応用
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21K07277
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
高月 英恵 宮崎大学, 医学部, 助教 (80773978)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プリオン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では異常プリオン試験管内増幅法(PMCA法)および、正常型プリオンタンパク質(PrPC)が異常型プリオンタンパク質(PrPSc)と相互作用し構造変換することでアミロイドフィブリルを形成する性質を利用した高感度検出法(RT-QuIC法)を用いてプリオン病の治療薬の探索を試みた。表面プラズモン共鳴イメージングによりHuman PrPCに結合することが示された化合物26個とin vitroでの有効性が確認された化合物32個の計 58個のプリオン抑制効果を検討した。遺伝性ヒトプリオン病(GSS)馴化株であるFukuoka-1株のPMCA増幅を抑える3つの化合物を見出した。スクレイピー馴化株である22L株も同様に実験したところ、興味深いことに10種類の化合物はFukuoka-1株と異なる結果を示した。各化合物のPMCA抑制レベルとドッキング計算によって示された結合エネルギーには相関がなかった。また、プリオン感染細胞及び感染動物においてプロテアーゼ耐性PrP(PrP-res)を減少させるペントサンポリサルフェート(PPS)によるプリオン抑制効果はプリオン株特異的である可能性が示唆された。抑制効果が見込まれる2つの薬剤を併用しPMCA抑制効果を検証したところ、相加効果は得られたが、相乗効果は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究においてプリオン感染細胞のPrP-resおよびPMCA増幅を抑制させる化合物を見出すことができたが、候補化合物を添加しPMCA法を繰り返すと薬剤耐性となることが明らかになった。そのため現時点では感染動物における治療効果の検証実験は着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤耐性となったPrPScの他の薬剤に対する感受性について検証を行うほか、複数の化合物を用いた多剤投与で薬剤耐性を抑える・耐性獲得までの時間を遅らせることが可能かどうかPMCA法を用いて検証する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた動物試験の着手が遅れているため、当該年度の研究費の一部が使用されなかった。
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Research Products
(2 results)