2021 Fiscal Year Research-status Report
Investigations of a pathological mechanism on the GC / UG-rich RNA sequences in ALS using genome-edited mice to develop novel therapies
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21K07281
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西本 祥仁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30398622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝田 晋介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問教授 (70407089)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ALS / FUS / RNA結合タンパク質 / ゲノム編集マウス / DigiGait 解析システム / 核内RNA / 長鎖ノンコーディングRNA / パラスペックル |
Outline of Annual Research Achievements |
1年次の研究実績をここに報告する。1年次に計画されていた計画1「ゲノム編集技術によるFUS変異ノックインマウスの作成と評価」については表現型解析および組織内分子変化の解析を継続中である。表現型に関しては、DigiGait解析システムを用いた定量的な歩容半自動解析を活用することにより、ヘテロ変異体の前肢および後肢の運動機能に14月齢時点で有意な低下を認めている。生存解析に関しても、野生型とヘテロ変異体の生存に関する統計学的差異についての1次評価を遂行中である。また、ヘテロ変異体の運動神経細胞において、核膜の形態変化も併せて認められている。 ALSの原因遺伝子として知られるRNA結合タンパクの中でもFUSは核内でのLLPS, パラスペックル形成をはじめとする機能がよく知られている因子の一つであり、トランスジェニックマウスとは異なるゲノム編集技術により作成されたノックインマウスとして、本モデルマウスが確立することで今後の生体におけるALS治療戦略としての候補薬剤スクリーニングに大きく寄与しうる可能性がある。この点において本研究成果は今後のALS研究において大きな意義と重要性を有していると考えている。 また1年次計画として予定していた計画2「FUS変異マウスにおけるパラスペックル形成とRNA代謝異常」についても現在、上記マウスを用いた至適解析条件の検索を行っている。一方で今後のRNA代謝変化検索のための脳、脊髄のサンプリングも順調に進行しており、行動解析および計画1で新たに得られた結果の関連解析とともに当初の目的である 長鎖ノンコーディングRNAの核内繋留や小ノンコ―ディングRNA のプロセシング異常、パラスペックルに関連するRNA結合タンパクの標的RNAのミスプロセス検索の解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム編集技術によるモデルマウスの作成、表現型解析、そしてALS病態の再現性の検証という点で順調に本プロジェクトは進行している。とりわけDigiGait解析システムを用いた定量的な歩容半自動解析法を活用することで、運動機能の差異を明確に示すことが可能となり、ヘテロ変異体の前肢および後肢の運動機能に14月齢時点で有意な低下を認められている。一方で、in vitroの過去の報告から予測されていた変異FUSタンパクの核外移行が生じることなく、核内にとどまっている現象がマウスの生体組織の解析で認められている。また核膜形態変化を含む興味深い知見も併せて認められている。これらの結果を含めてFUS変異タンパクの新たな病態機序解明への切り口となる知見が副次的に得られている。これらは計画2でのRNA代謝異常検索においても重要なヒントとなる知見であり、注目に値する結果ととらえている。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム編集技術によるノックインマウスの作成と、生存および表現型解析においては、まだN数が十分ではないため(現在は野生型5例, ヘテロ変異体5例の比較での一次評価中)、結果の確かな実証のために現在マウスのN数を増やしての検討を継続中である。また、前述のとおり疾患に関連する分子変化として、免疫組織染色で核膜障害を示唆する興味深い知見も得られている。Current Status に挙げた核膜形態・機能異常や変異FUSタンパクの動態に関する新たな結果についても検索を進めつつ、2年次研究の完了時点で、本研究の本質的な目的であるパラスペックル形成変化、sncRNAプロセシング異常、変異FUS・誘導されるパラスペックル蛋白、RNA pol IIのRNA結合パターン、スプライシングパターン、3’UTR開始点の評価を中心としたRNA代謝変化の探索を実施する。以上の方策により、3-4年次の特異的ノンコーディングRNA阻害薬の開発のステップへとつなげていくことを目標として、当初の研究計画に沿って引き続き研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた学会へ都合により参加できなかったため、さらに効率的な物品調達を行ったことによる。令和4年度のマウス飼育料および実験試薬費として使用させて頂く計画である。
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