2022 Fiscal Year Research-status Report
ニューロモデュレーションはαシヌクレイン脳内伝播に影響を及ぼすのか?
Project/Area Number |
21K07282
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
下 泰司 順天堂大学, 医学部, 教授 (70286714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 明日香 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40812459)
岩室 宏一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80384775)
奥住 文美 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90826075)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニューロモデュレーション / 視床下核 / αシヌクレイン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度と同様にパーキンソン病おける中枢神経内のαシヌクレイン(αsyn)伝播に対する、ニューロモデュレーションの影響の有無を確認するために、αsyn伝播モデル動物に対して、視床下核(STN)破壊術を施行したC57BL/6マウスを作製した。前年度は片側線条体にα-syn preformed fibrils (PFF) を定位的に注入(2mg/ml, 2.5 micro L)前に同側視床下核(STN)をイボテン酸(0.01 mg/ml, 2 micro L)で破壊しαsynの広がりを観察し、コントロール群(STNに生理食塩水注入群)と比較してαsynの皮質、黒質への広がりが抑制されていることを観察した(両群ともn=3)が、本年度はより実臨床に近い、αsyn PFFを片側線条体に注入24時間後にSTNをイボテン酸を用いて破壊し、解剖学的にαsynの伝播する領域を連続切片で確認した(n=3)。パラフィン切片を作成後、抗リン酸化シヌクレイン抗体(pSyn#64)を用いて免疫組織学的染色を行い、α-synの広がりを連続切片を用いてKeyence-Bz800のハイブリットセルカウントで定量的に計測を行った。その結果、コントロール群と比較してSTN破壊群において、αsynの皮質及び黒質への発現量の減少を認めた(p<0.0001)。これらの結果は、実臨床病態下でもSTNニューロデュレーションにおける、αsyn伝播の抑制可能性を示唆するものであった。現在、αsyn注入前後で、PDにおけるニューロモデュレーションのもう一つのターゲットとなる淡蒼球内節(GPi,げっ歯類ではEntopeduncular nucleus) を破壊しαsynの広がりの観察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は実験動物及び器具の調達の遅延があり、その分計画の遅延が生じていた。今年度も実験器具の入手に時間を要したが、既存の器具をリサイクルするなどの使用により進展に大きな問題はなかったが、昨年度の遅れを取り戻すほどの進展はできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行しているEntpedunclar nucleus(EP)を破壊した群と、STN破壊群を比較してαsynの広がりの差を検討する。この広がりに有意差を認める場合は、その原因を探索する。その方法として、α-synの伝播は、神経細胞活動に異存していることが報告されている。よって、STNまたはEPの破壊後の線条体特に投射ニューロンの神経細胞活動の違いの検討を単一細胞外電位記録によって行う。また我々は、STNまたはEPの高頻度で電気刺激を行った際、前者では線条体内のドパミン放出が生じており、後者では生じていないことを報告している。すなわち、STNの神経細胞活動の変化は、線条体のドパミン濃度に影響を与えている可能性があり、EPではドパミン濃度が変化していない可能性があり、このドパミン濃度の変化が、α-syn伝播に影響を与えているのか否かを検討する。具体的には、6-OHDA投与によってドパミンを枯渇させた場合のα-synの広がりの違いを検討する。ドパミンの有無によって伝播に差が生じている場合は、各種のドパミン受容体拮抗薬(D1受容体拮抗薬及びD2受容体拮抗薬)の投与によって変化が生じるか否かを観察する予定である。
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Causes of Carryover |
動物飼育費等の必要経費はコンスタントに発生している一方、実験器具の入手の遅延があったため、物品費の支出が想定より低くなった。
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