2023 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質運動野から体性感覚野への投射回路の除痛効果の解明
Project/Area Number |
21K07285
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
尾崎 弘展 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (30747697)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 運動野 / 痛み |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質運動野と体性感覚野は相互に結合関係を持ち、運動実行時には、運動指令の内容が運動野からefference copyとして体性感覚野に入力される。一方、筋紡錘やゴルジ腱器官から送られる深部感覚は、大脳皮質一次体性感覚野dysgranular領域へと伝わる。従って、dysgranular領域は、こうした感覚情報と運動情報の結節点として重要な働きを担っている可能性が高い。また、この領域は痛み情報を選択的に処理する(Osaki et al., Nat. Commun. 2022)ことから、運動時に運動野から体性感覚野に送られるシグナルは、痛み情報に対して修飾作用を引き起こす可能性が高い。 そこで本研究では、運動野からdysgranular領域への入力が、dysgranular領域での痛みに関連した活動を抑制するのかという点に着目して研究を進めた。運動中の齧歯類マウスの一次運動野、およびdysgranular領域から蛍光カルシウムセンサーを用いて活動を計測し、同時に、四肢の動きを多点カメラで計測し、深層学習モデルにより、姿勢を推定することで、一次運動野の特定のエリアにおいて、前肢の動きに応じてシグナルが上昇する領域を同定することに成功した。痛み関連応答と運動野活動抑制効果の詳細な検証のためには、運動野からdysgranular領域へ投射する神経活動の抑制では、運動は抑制されないことの確認が必要である。そこで、大脳皮質運動野の活動を光遺伝学的に制御するため、抑制性光遺伝学物質であるJawsをウイルスベクターを用いて発現させ、運動中の一次運動野およびdysgranular領域に対して赤色レーザーを照射し、神経活動を抑制することで、運動に与える影響の評価を進めた。その結果、レーザー照射による神経活動抑制では、運動自体が抑制されないことを確認できた。
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