2021 Fiscal Year Research-status Report
シナプス可塑性に着目した知的障害を呈するモワット・ウィルソン症候群の病態解明
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21K07289
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
鈴木 康予 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 遺伝子医療研究部, 主任研究員 (60416188)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Mowat-Wilson症候群 / ZEB2 / 発達障害 / 先天異常症候群 / 小頭症 |
Outline of Annual Research Achievements |
モワット・ウィルソン症候群は、知的障害、特徴的な顔貌、小頭症を主徴とする先天異常症候群である。我々は、2001年にモワット・ウィルソン症候群の原因遺伝子ZEB2を同定した。しかし、モワット・ウィルソン症候群の発症メカニズムは未解明のままであり、現状では治療の手立てがなく、その解明は急務である。モワット・ウィルソン症候群の症状の中でも、出生後に発症・進行する知的障害やてんかんの発症機序を明らかにすることは、早期介入による治療あるいは症状の緩和、QOL(Quality of Life)の向上などに寄与することができる。そこで本年度は、ZEB2の機能喪失型変異が神経細胞に及ぼす影響の一端を明らかにすることを目的として、ヒト神経芽細胞腫由来のSH-SY5Y細胞を用いたモワット・ウィルソン症候群モデルの作製に着手した。CRISPR/Cas9によるゲノム編集技術を用いて、ZEB2配列に薬剤耐性遺伝子を挿入することによって、ZEB2の機能喪失型変異を再現する。Cas9タンパク質/gRNA複合体(RNP)をエレクトロポレーション法によってSH-SY5Y細胞に導入し、薬剤スクリーニングを行った結果、ZEB2がホモ欠損・ヘテロ欠損した細胞をそれぞれ得た。得られた細胞からRNA抽出を行い、RT-PCRによって特定のエクソンがスキップした転写産物が得られ、フレームシフトにより機能タンパク質の産生量が低下していることが示唆された。さらに、定量PCR法によってZEB2とその関連遺伝子の発現量を調べたところ、興味深い知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で計画していた通り、ゲノム編集によってモワット・ウィルソン症候群のモデル細胞が得られた。得られた細胞を用いた予備的な解析の結果も良好であり、モワット・ウィルソン症候群の発症メカニズムに関する新しい知見を得ることができると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ZEB2の機能喪失型変異によって起こる神経細胞内の変化を明らかにするため、wild-typeとZEB2欠損のSH-SY5Y細胞を用いて、トランスクリプトーム解析を行う。特に、シグナル経路とシナプス可塑性に関連した経路に注目して、比較・解析する。並行して、ゲノム編集で問題となる「オフターゲット効果」による影響を除外するため、今年度に作製したしたモワット・ウィルソン症候群モデル細胞とは異なるガイドRNAを設計して、新たなZEB2欠損細胞株を樹立し、解析結果の検討を行う。
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Causes of Carryover |
本研究で使用を予定している試薬を発注しているが、新型コロナウイルスの感染拡大による物流の混乱などの影響により、納期遅延が起き、納品に至っていないため次年度使用額が生じた。トランスクリプトーム解析のための次世代シーケンサーを用いたRNA-seqと、その結果から明らかになるZEB2欠損によって変動する各種シグナル経路の因子について発現解析を行う費用とする。
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Research Products
(1 results)