2022 Fiscal Year Research-status Report
シナプス可塑性に着目した知的障害を呈するモワット・ウィルソン症候群の病態解明
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21K07289
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
鈴木 康予 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 遺伝子医療研究部, 主任研究員 (60416188)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Mowat-Wilson症候群 / ZEB2 / 発達障害 / 先天異常症候群 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
モワット・ウィルソン症候群(MOWS)は、知的障害、特徴的な顔貌、小頭症を主徴とする先天異常症候群である。我々は、2001年にMOWSの原因遺伝子Zinc finger E box-binding homeobox 2 (ZEB2) を同定した。しかし、MOWSの発症メカニズムは未解明のままであり、現状では治療の手立てがなく、その解明は急務である。ZEB2の機能喪失型変異によって生じる神経細胞内の変化を明らかにするため、今年度は昨年度にゲノム編集技術を用いてZEB2を欠失させたヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞のRNA-seqを行った。RNA-seqデータのGene Ontology (GO) エンリッチメント解析は、axon developmentやsynapse assemblyに関連する遺伝子群などで発現が変動する可能性を示した。また、RNA-seqと並行して、ゲノム編集で問題となるオフターゲット効果による影響を除外するため、昨年度に作製したMOWSモデル細胞とは異なる新たなZEB2ヘテロ欠失細胞株を樹立した。dBu-cAMP刺激によるMOWSモデルSH-SY5Y細胞の分化誘導では、正常なZEB2発現量の減少に伴い、軸索伸長能が低下することが分かった。2種類のZEB2ヘテロ欠失細胞と1種類のZEB2ホモ欠失細胞を用いて、RNA-seq解析結果の検証を開始した。今年度はaxon development関連遺伝子群の発現変動を詳細に解析した。その結果、4つの因子においてZEB2発現量とその発現変動に相関が認められ、MOWSの症状を引き起こすと考えられる軸索伸長障害のメカニズム解明につながる知見となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ゲノム編集技術によって作製したMOWSモデル細胞を用いたRNA-seqを実施した。また、ゲノム編集で問題となるオフターゲット効果による影響を除外するための新たなZEB2欠損細胞株の樹立にも成功し、順調に解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、引き続きRNA-seq解析結果の検証を行う。特に、シナプス形成に関わる因子を中心に解析を進める。さらに、これらの因子はレスキュー実験などを行い、MOWSの発症機序との関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
RNA-seqの受託解析が、メーカーのキャンペーン期間と重なり、想定していたよりも安価で実施できたため、次年度使用額が生じた。RNA-seqデータの詳細解析に使用する。
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