2021 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞からの機能回復過程における時間的・空間的な病態の遷移プロセスの解明
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21K07290
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 時春 新潟大学, 脳研究所, 助教 (40542387)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 回路再編 / 皮質脊髄路 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞は神経回路機能の破綻を引き起こす。限定的ではあるものの、再編により代償性の回路が形成され、一定の機能回復を示す。しかし、脳梗塞は引き起こされる部位やその大きさは様々であるため、再編様式も複雑であることが予想される。そこで、本年度は、脳梗塞の起こる位置や大きさにより、皮質脊髄路がどのような再編パターンを示すのかを調べた。そのために、まず、マウスにおいて、皮質脊髄路の様々なタイプが位置するrostral forelimb area (RFA)、caudal forelimb area (CFA)、primary somatosensory cortex (S1)の大脳皮質領域で脳梗塞の位置や大きさを調節できる実験モデルを確立し、順行性トレーサーで皮質脊髄路をタイプ別に標識することで、軸索投射のパターンを詳細に解析、評価した。その結果、1. 広範囲な梗塞の場合、残存した対側の皮質脊髄路は再編を起こすこと、2. 障害領域が小さい場合、周囲の残存した同側の皮質脊髄路が再編に寄与すること、3. 運動野と感覚野のような機能的に異なった皮質脊髄路はお互いに再編による代償的な回路を形成しないという再編機序を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
mRNAを抽出するためのマウス試料は現在調製中のため、遺伝子発現解析にやや遅れが生じている。一方で、病態遷移におけるグリア細胞の形態学的解析に用いる遺伝子改変マウスの交配は順調に進んでおり、予備実験もすでに開始しているため、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、遺伝子発現解析に取り組み、発現変動遺伝子のリストから病態遷移に関わる候補因子の探索を重点的に進めていく。その後、アデノ随伴ウイルスベクターを用いて、発現操作することにより、候補因子の病態遷移における機能解析を推進していく。
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Causes of Carryover |
遺伝子発現解析にやや遅れが生じたため、試薬購入に当てる費用に変更が生じた。次年度に、遺伝子発現解析をするための試薬購入を計画している。
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Research Products
(3 results)