2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a brain environment model and pathological detection system as a basis for iPS cell analysis in Parkinson's disease
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21K07301
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
志賀 孝宏 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (50784378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 里紗 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (90614248)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 老化 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
患者特異的なiPS細胞は神経疾患のモデルとして有用なツールであるが、パーキンソン病やアルツハイマー病などの遅発性神経変性疾患では、疾患表現型を検出するために長期の培養期間を必要とすることが問題であった。 我々はこれまでに、リプログラミング時の培養条件に複数の阻害剤を添加することにより、高効率な分化成熟能力を持つiPS細胞を作製する技術や領域特異的な神経細胞を作製する技術を確立してきた。本研究では、遅発性神経変性疾患の病態表現型を短期間で検出する成熟/老化促進技術を確立した。 本研究では、Synapsin-GFPを導入したiPS細胞由来の神経細胞を用いて成熟・分化を促進する化合物のスクリーニングを行い、JA1を同定した。また、JA1を処理したiPS細胞由来神経細胞では、SA-bGalやgH2AXの蓄積(DNA損傷)などの老化表現型が短期間の培養(神経分化から7-14日間)で観察され、トランスクリプトーム解析により複製ストレスに起因することが示唆された。また、JA1はiPS細胞由来神経細胞以外のさまざまな細胞でも老化を誘導できることを確認している。例えば、若年性の線維芽細胞にJA1を処理することにより、高齢の線維芽細胞と似た状態に変化させる効果があることがわかった。 アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患特異的iPS細胞モデルでは、JA1を処理することにより表現型発現までの時間を大幅に短縮することが可能であることも確認した。本研究で同定したJA1は、遺伝子導入なしで容易に神経細胞の分化・成熟を促進することができ、従来の培養よりも短期間で神経変性疾患特有の病態を再現するために有用である。本化合物は、疾患モデルiPS細胞の研究効率向上に大きな効果を発揮し、老化研究においても極めて有用なツールであることを示した。
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