2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K07308
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
石川 享宏 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術支援センター, 主席研究員 (90595589)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小脳 / 予測 / 運動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
小脳は大脳運動野と双方向の神経結合を介して協調的に働き、随意運動の円滑な遂行に重要な役割を担うと考えられている。多くの先行研究により運動時の小脳から大脳運動野への出力は運動(筋活動)の調節信号と見なされることが多い一方で、運動の結果として生じる感覚を予測し出力するとの仮説もあり、未だ明快な結論は得られていない。そこで本課題では小脳から大脳への出力部位である小脳核の神経活動の性質を神経生理学的に調べることにより、小脳出力が運動情報と感覚情報のいずれを担うのか、あるいは役割の異なる二つのシステムが併存しているのかを細胞レベルで実験的に検証する。運動制御における小脳の役割の明確化により、小脳の異常が運動障害を引き起こすメカニズムを解明し、より信頼性の高い小脳機能の評価基準や様々な運動症候のリハビリテーション戦略の策定に貢献できると期待される。 自発的な運動に伴う身体の動き(能動的動作)と外部から力を加えて生じる受動的な身体の動き(受動的動作)における小脳核の神経活動を比較するため、本年度(2021年度)は実験システム開発とマカクザルのトレーニングを進めた。個々の神経活動の機能的意味を明確にするため、手首の単関節運動を利用した運動課題を用い、サルのトレーニングと並行して手首運動のキネマティクスデータを収集した。サルが能動的に運動する際のキネマティクスをモーターによる機器の駆動で再現するとともに、能動的動作と受動的動作のフェーズ切り替えにスムーズに対応できるようサルのトレーニングを継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では手首運動用マニピュランダムにサーボモータを取り付けることで能動的動作時のキネマティクス再現を考えていたが、半導体不足やモーターの価格高騰により使用予定の部品が入手困難となったことから当初計画を変更せざるを得ず、システムの設計を大きく修正した。代替策としてハプティックデバイスSPIDAR-mouseの応用によるシステム開発を進めている。 サルのトレーニングは予定通りに進行しており、一頭は手首運動課題をスムーズに行うことができる。小脳核での神経活動計測の準備を進めるとともに、もう一頭のサルについて同様のトレーニングを開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
能動的動作時のキネマティクスを機械的に再現するための装置開発を進め、受動的動作に伴う神経活動計測を可能とするシステムを実用化する。この装置を用い、トレーニングを完了したサルにおいて小脳核の神経活動記録を開始し、能動的動作と受動的動作における神経活動パターンを比較する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では手首運動用マニピュランダムの改造費用として当該助成金を使用する予定であったが、必要な部品が入手困難であることから次年度に繰り越し、新たな設計でのシステム開発費用として使用することとした。
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