2021 Fiscal Year Research-status Report
Impact of cysteine modifications of apolipoprotein E on the remnant lipoprotein metabolism
Project/Area Number |
21K07310
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山内 一由 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (70419414)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | apoE / Cys-thiol 基 / レドックス変化 / レムナントリポ蛋白 / LPL / LRP-1 / Syndecan-1 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
apoEのCys-thiol基のレドックス変化の病態生理学的意義を明らかにすることを目的として、apoEが中心的な役割を担うレムナントリポ蛋白 (RLP)代謝における1) LPLを介したTG分解過程と2) LRP-1/HSPG (Syndecan-1: Syd-1) 経路を介したRLPの細胞内取り込み過程に及ぼすapoEのCys-thiol基のレドックス変化の影響について研究を進めている。1)については、TG-richエマルジョンに種々の酸化還元処理を施したapoE とapoC-IIを添加した疑似リポ蛋白に対するLPL活性を指標として検討を進め、apoEのレドックス変化がLPL活性に影響することを明らかにした。すなわち、① Cys-thiol基の還元処理はapoE2とapoE3のLPL活性抑制作用を非還元時の2.0~2.4倍に増強し、② Cys-thiol基のアルキル化はLPL活性をむしろ促進させ、アルキル化したapoE2とapoE3の添加はLPL活性をapoE非添加時の1.7倍に高めた。一方、③ Cys基をもたないapoE4ではこれらの酸化還元処理の影響はほとんど認められなかった。2)については、培養プレートに種々の酸化還元処理を施したapoEをコーティングしてLRP-1高発現ヒト線維芽細胞の接着性を検討した。ラクトフェリンを用いた阻害実験により細胞接着は細胞膜表面のLRP-1とapoEの相互作用を介していることが確認されたが、apoE-Cys-thiol基のレドックス変化は接着性に殆ど影響しなかった。細胞内への取り込みに及ぼす検討については次年度の課題であるが、Syd-1を強発現させた細胞を用いた予備実験で細胞接着性が約3倍に高まることが確認されたことから、LRP-1とSyd-1を個々にではなく、両者の協働作用に対する影響に着目して検討を進める必要があると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の研究計画通り、LPLを介したTG分解過程に及ぼす影響に関する検討とLRP-1にとの結合性に及ぼす影響に関する検討を終えることができた。また、次年度に予定していたSyd-1発現ベクターの構築を完了し、予備実験を行うこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したSyd-1発現ベクターをLRP-1高発現ヒト線維芽細胞(LRP-1+/Syd-1-)にトランスフェクションしてLRP-1とSyd-1の安定発現株(LRP-1+/Syd-1+)を作製する。また、LRP-1+/Syd-1+をsiRNAでLRP-1をノックアウトした細胞株(LRP-1-/Syd-1+)も作製する。これらの細胞を用いて細胞接着性を指標として、apoEとLRP-1/Syd-1との相互作用に及ぼすapoEのCys-thiol基のレドックス変化の影響について検討する。さらに、apoE 含有蛍光標識 TG-rich エマルジョンを作製し、これを RLP のモデルとした細胞内への取り込み実験系を確立し、apoE のCys-thiol基のレドックス変化が RLP の細胞内への取り込みに及ぼす影響の検討にも着手する。
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Research Products
(6 results)