2021 Fiscal Year Research-status Report
非小細胞肺がんのがん間質における低酸素応答の解析とがん免疫治療への応用
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21K07316
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
寺本 晃治 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (10452244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 瑛子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (00746919)
醍醐 弥太郎 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30345029)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 低酸素応答 / 非小細胞肺がん / がん関連線維芽細胞 / マクロファージ / TGF-alpha / PD-L1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん組織の複雑性に着目し、がん間質のがん関連線維芽細胞(CAF)を中心にして、がん細胞⇔CAF、CAF⇔腫瘍浸潤リンパ球の細胞間相互作用を解析することで、腫瘍微小環境における抗腫瘍免疫応答の制御機構を解明しようするものである。 2021年度の研究においては、まず、低酸素状態において、がん細胞(非小細胞肺がん)⇔CAFとの相互作用について研究を行ったが、とくに、低酸素状態におけるサイトカイン Transforming growth factor-alpha (TGF-a)の発現に着目した。その結果、低酸素状態(仮想低酸素状態)で培養した非小細胞肺がん細胞株(10種類, うち5種類はEGFR遺伝子変異細胞株)においては、TGF-aのmRNAレベルでの発現が亢進すること、これは、EGFR遺伝子野生型細胞株で顕著であることを見出した。 また、腫瘍微小環境における抑制性の免疫応答について理解するために、非小細胞肺がんにおけるPD-L1陽性のマクロファージの分布(組織内密度)について調査した。さらに、この結果と、患者の血漿中の可溶性PD-L1濃度との関連性について調査を進めた。その結果、組織おけるD-L1陽性のマクロファージの密度が高く、血漿中の可溶性PD-L1濃度が高い群では、手術後の予後が不良であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非小細胞肺がんにおいて、がん細胞が低酸素により受ける影響について、研究はスタートできており、研究成果は得られている。しかし、コロナ禍の影響もあり、本研究課題に充当できるエフォートが減少したこと、研究分担者1名が異動に伴って本研究に参画できなくなったことなどが影響して、当初の計画よりも研究の進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、低酸素状態において、がん細胞以外にCAFやマクロファージもTGF-alphaの発現が変化するのか、また、TGF-alphaを介した各細胞間の相互作用について調べる。また、本研究に充当できるエフォートに関しては、当初の計画どおりに回復できる見込みである。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響もあり、本研究課題に充当できるエフォートが減少したこと、研究分担者1名が異動に伴って本研究に参画できなくなったことなどが影響して、当初の計画よりも研究の進捗が遅れているために、次年度使用額が生じた。2022年度においては、遅れている2021年度の研究計画から順次、実施していく予定であるために、2022年度の予定額と合わせて使用する計画である。
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Research Products
(3 results)