2023 Fiscal Year Annual Research Report
抗リン脂質抗体症候群の病態パターンと発症リスクを層別化できる検査診断法の確立
Project/Area Number |
21K07318
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
野島 順三 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30448071)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗リン脂質抗体症候群 / 抗カルジオリピン抗体 / 抗β2-グリコプロテインⅠ抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗リン脂質抗体症候群(APS)の検査診断確立に関する研究として、新たなAPS検査診断における抗リン脂質抗体価のスコア化に向けた検証を実施した。APSの新診断基準案として2023 ACR/EULAR APS classification criteriaが提案され、抗リン脂質抗体価は標準化されたELISAにて測定された抗体価が40-79Uを中力価、80U以上を高力価と定め、IgG/IgMクラスの抗カルジオリピン抗体 (aCL)および抗β2-グリコプロテインⅠ抗体の抗体価をスコア化して評価することとされている。しかし、我が国で保険適用されている自動分析装置搭載試薬のキャリブレーターが国際的に承認されているHarris標準血清に適合しておらず国際標準単位との抗体価の照合が難しいという問題があった。そこで本研究では、スコア化の基準となる40Uおよび80Uが、各試薬でどの程度の測定値に相当するのか検討し、日本における抗リン脂質抗体価のハーモナイズが可能か検証した。本邦で使用可能な抗リン脂質抗体測定試薬について、各種試薬にて、APS 50例のaCL-IgG/IgM、aβ2GPI-IgG/IgMを測定した。ELISAで測定された抗体価を基準とし、各種自動分析装置搭載試薬の測定値について、基準の測定値との相関からELISAにおける40Uおよび80Uに相当する値を求めた。算出した値を用い、APS患者50例および非APS膠原病患者50例の測定値を、高力価、中力価、中力価未満に分類し、測定試薬間で比較した。IgGクラスのaCLおよびaβ2GPIは共に、どの試薬間でも良好な相関関係を示し、基準試薬相当値の設定が可能であった。一方、IgMは、中力価以上の抗体価を示す検体が少なく、40U以上の範囲における相関関係が強くないため、基準試薬相当値を設定することは困難だと判断した。
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