2022 Fiscal Year Research-status Report
elderly-onset inflammatory diseases-inflammageing & epigenome-
Project/Area Number |
21K07326
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
三村 俊英 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30260491)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢発症炎症疾患 / 関節リウマチ / エピゲノム / リウマチ性多発筋痛症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に続いて2022年度には、高齢発症関節リウマチ(EORA)患者(>65歳)及び非高齢発症RA(YORA)患者の当院整形外科によって行われる人工関節置換術時に破棄される滑膜組織を同意取得後に採取し、滑膜線維芽細胞のヒストン修飾変化及びそれに伴う遺伝子発現変化を確認している。 EORA及びYORA患者の滑膜線維芽細胞を用いて、ヒストン修飾(主に、ヒストン3のリシン残機(K4、K27及びK36))のジメチル化(me2)とトリメチル化(me3)に関してクロマチン免疫沈降法(ChIP)を用いて解析を行った。2022年度におけるChIPの結果は昨年と同様にH3K4me3は、MMP-1, 3, 13においてEORAで亢進していた。このことは、関節破壊に関与する分子はEORAにおいて発現亢進が見られる可能性を考えさせる。一方、H3K27me3に関しては、これらの遺伝子を含むRA関連遺伝子において年齢による変化は認めなかった。また、H3K36me2/me3においてはEORAではYORAやOAよりMMP-1、MMP-13の%inputは低下していた。さらにRAにおいて重要と考えられる炎症性サイトカインやケモカイン(CTSK、IL-6、IL-8、IL-15、CCL2、CXCL5、CXCL6、CXCL12、CXCL13)においても同様にEORAではYORAに比して低下していた。このことは、興味深く、EORA患者においては炎症反応高値が多く、疾患活動性が高い傾向にあるにも関わらず、関節破壊の進行した関節における滑膜線維芽細胞レベルでは、むしろ炎症に関与するサイトカイン/ケモカインはEORAにおいては発現低下している可能性を推測させた。また、高齢慢性炎症疾患であるEORA及びリウマチ性多発筋痛症(PMR)患者(>65歳)の血清のサイトカイン/ケモカイン測定のために血清を保存している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)患者滑膜組織由来滑膜線維芽細胞;当院整形外科における関節置換手術症例数は多いが、RAは治療の向上により人工関節置換術を要する患者が減少しているため、現時点ではEORA 8例、YORA 5例を組み入れた。また、RAの対照疾患である変形性関節症(OA)の人工関節置換術時に破棄される滑膜組織由来の滑膜線維芽細胞を患者同意の下に採取し、RAと同様にOA6例においてもこれらの患者からの培養滑膜線維芽細胞を用いたエピゲノム解析を進めている。RA患者由来滑膜線維芽細胞を用いた研究は、およそ予定通りに推進している。次年度も同様のペースで患者リクルートが進めば当初の予定患者数は達成できると推定している。 2)患者由来末梢血単核細胞および血清;EORA及びPMRの未治療患者末梢血を用いてヒストン修飾変化解析および血清サイトカイン/ケモカイン測定を行う研究においては、対象者が外来での当院初診患者であり、かつ新型コロナウイルス感染の拡大防止対策中であることから、昨年に続いて患者同意及び採血は数名のみであった。
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Strategy for Future Research Activity |
RA患者由来滑膜線維芽細胞を用いた研究は、およそ予定通りに推進している。次年度も同様のペースで患者リクルートが進めば当初の予定患者数は達成できると推定している。一方、未治療患者由来の末梢血単核細胞を用いる研究では、対象者は外来初診患者であり、長時間の受診待ち時間の後に診察することが影響していると考えられるが、研究参加への同意が得られにくく、さらに早期に治療介入が行われることから、治療前の採血は初診時に同意を得ておく必要があり(これにより治療前である次回受診時の採血時に併せて研究用試料を得ることができる)、待ち合いに患者数が多く、混雑が避けられない当科外来において同意取得のための説明を行うことは容易ではない。特に、今年度も昨年度と同様に新型コロナウイルス感染拡大のみられる時期があり、同意取得にかけるための時間を捻出することが困難であった。さらに、昨年度に検討した外来に別途同意取得用の別ブースを設けること、多くの内科診療科と共同で外来ブースを利用する現在の体制では外来ブースにゆとりがなく、外来患者数の同意取得補助者を用いてスムースな同意取得を目指すことができなかった。 そのため、今後の改善策としては、鑑別診断目的に入院するEORAやPMR患者に同意を取得した上で採血などを行うことを優先することとした。この利点は時間をかけて十分な説明を行うことが可能となることである。一方、欠点としては、リクルート対象患者数が少ないことであるが、現在までの外来でのリクルートを考えれば患者数の増加が期待できる。
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Causes of Carryover |
前述したように、EORAおよびPMR未治療患者のリクルートが十分ではなく、この部分の研究が最終年度にずれ込んだため、その部分が次年度に行う計画とした。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Abatacept ameliorates both glandular and extraglandular involvements in patients with Sjogren’s syndrome associated with rheumatoid arthritis: Findings from an open-label, multicentre, 1-year, prospective study: The ROSE (Rheumatoid Arthritis with Orencia Trial Toward Sj?gren’s Syndrome Endocrinopathy) and ROSE II trials2022
Author(s)
Tsuboi H, Toko H, Honda F, Abe S, Takahashi H, Yagishita M, Hagiwara S, Ohyama A, Kondo Y, Nakano K, Tanaka Y, Shimizu T, Nakamura H, Kawakami A, Fujieda Y, Atsumi T, Suzuki Y, Kawano M, Nishina N, Kaneko Y, Takeuchi T, Kobayashi H, Takei M, Ogasawara M, Tamura N, Takasaki Y, Yokota K, Akiyama Y, Mimura T, et al.
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Journal Title
Modern Rheumatology
Volume: 33
Pages: 160~168
DOI
Peer Reviewed
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