2022 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症における興奮性/抑制性バランス不均衡の分子メカニズムの解明
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21K07327
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
飯島 陽子 東海大学, 医学部, 特定研究員 (50451860)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 環境的要因 / E/Iバランス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、自閉スペクトラム症(ASD)のモデル動物において神経活動の興奮性と抑制性のバランス(E/Iバランス)の不均衡が報告されてきたことから、これがASD病態の本質的な変化である可能性が考えられる。本研究では、ASDの原因となる環境的要因を模倣した刺激を負荷することでASDの病態を反映するモデルマウスを用いて、E/Iバランス異常の原因となる分子シグナルの実態を明らかにし、ASD発症に関連する普遍的な分子メカニズムの解明や予防や治療に繋げる可能性を探る。 2年目は、初年度に導入した遺伝子改変マウスと既存のマウスとの組み合わせによる個体を元にASDモデルマウスを作製した。また、社会性行動の試験系を新たに1つ追加することで行動解析の充実を図った。成長後のマウス個体を用いて、ASDモデルで見られる病態が行動学的に改善するかどうか、行動試験後の脳組織を用いた形態学的解析でASD病態が変化するかどうか、について研究を進めてきた。さらに、ASDモデルの胎児脳由来の培養細胞の検体を用いて生化学的に分子メカニズムの解析を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目までに遺伝子改変マウスの本学への導入から交配、解析まで順調に進んでおり、最終年度前半に終了できる見込みと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
胎児脳由来の初代培養による細胞レベルの検体を用いた生化学的解析と、成長後の個体・脳組織を用いた行動学的・形態学的解析を並行して進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、主には遺伝子改変マウスの作製などマウスに関する使用額が想定していた金額より少なかったことが理由である。使用計画はマウス実験に加えて、組織学的実験・培養細胞を用いた生化学実験をさらに充実させるための抗体の購入などに充てたい。
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