2022 Fiscal Year Research-status Report
八味地黄丸の代謝作用解明に基づく肥満症治療薬としての意義の確立
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21K07332
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
香川 正太 第一薬科大学, 薬学部, 講師 (30463201)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レプチン / 肥満 / インスリン抵抗性 / 脂肪分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに八味地黄丸(HJG)は高脂肪食で誘導した肥満マウスに対して、有意な体重増加の抑制が認められた。また、高脂肪食によって低下した血中アディポネクチン濃度は、HJG投与によって有意に改善し、皮下脂肪組織において、高脂肪食負荷に伴い増加したPPARγのリン酸化(Ser273)はHJGによって有意に抑制された。これらの現象について、インスリン負荷試験によって明らかとなったHJG投与によるインスリン抵抗性の改善作用との相関が認められた。一方で、レプチン欠損マウス(ob/ob)にHJGを投与すると、体重増加に対する有意な変化は確認されなかった。興味深いことにob/obにおいても、インスリン負荷試験を行うと、HJG投与群で有意なインスリン抵抗性改善作用が見いだされた。これらの結果より、HJG投与に伴う抗肥満作用にはレプチンの作用が必須である可能性が示唆された。また、HJGのインスリン抵抗性改善作用には、レプチン非依存的な作用機序が存在する可能性が示唆された。 HJGの抗肥満作用について精査するため、白色脂肪の脂肪分解において重要なホルモン感受性リパーゼ(HSL)のリン酸化(Ser660)を皮下脂肪組織において検討したところ、HJG投与した肥満マウスの皮下脂肪組織では、有意なHSLリン酸化の増強が認められた。このことから、少なくともHJGの抗肥満作用および昨年度報告した白色脂肪組織の萎縮には、HSL活性化を介した脂肪分解亢進が関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗状況について、当初の計画通り進行している。 HJG投与に伴うホルモン感受性リパーゼのリン酸化亢進作用は、当初予測していなかった観点であり、HJGの新たな抗肥満作用の機序の1つとして新たに発見できた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、HJGに含まれる抗肥満活性を有する画分(化合物)を同定することを目的とし、HJGエキス末からの抽出・分離成分について、培養脂肪細胞を用いたスクリーニングを実施する。 既に、ある程度の分離を終えており、3T3L1脂肪細胞を用いて、エネルギー代謝亢進作用の指標として、脱共役タンパク(UCP)1の遺伝子発現を検討する。
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Research Products
(2 results)