2023 Fiscal Year Annual Research Report
新たな遺伝性腫瘍・内分泌代謝症候群「ARMC5遺伝子異常症」の臨床病態解明
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21K07334
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Research Institution | Shizuoka Graduate University of Public Health |
Principal Investigator |
臼井 健 静岡社会健康医学大学院大学, 社会健康医学研究科, 教授 (20271512)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ARMC5 / 遺伝性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
PMAHはクッシング症候群あるいはサブクリニカルクッシング症候群を呈する両側副腎の結節性病変である。多くのPMAHは孤発性であるが一部に家族性の症例が存在することが知られている。2013年にARMC5遺伝子の生殖細胞系変異がPMAHの原因である事が報告され、その後の追試でPMAHの20-30%の症例でARMC5の生殖細胞系変異が同定されることが明らかにされた1-4)。またPMAHに髄膜腫を合併した症例において髄膜腫組織においてARMC5遺伝子のセカンドヒットが確認されARMC5遺伝子はPMAHのみならず他の臓器における腫瘍形成にも関わりうることが示唆されている。 ARMC5遺伝子をサンガー法で解析し解析対象32家系の内14家系においてに病的バリアントを同定した。病的variantを認めた14家系中5家系においてp.R619*のナンセンス変異を認めた。これら5家系に血縁関係や地域集積性は認めなかった。またデータベースに登録のない3つのvarianを同定した。ACMGのガイドラインに照らしあせてこれらのvariantはいずれもpathogenic / likely pathogenicと判定された。またvariantを認めなかった18家系のうち12家系についてMLPA法による解析を実施したがコピー数異常を認めた症例はなかった。ARMC5に病的variantを認めた患者の50%において他の臓器の腫瘍性病変を認めた。ARMC5遺伝子と髄膜腫の関連については報告されているが、他の腫瘍発症との関連は報告されていない5)。今回の解析では明かなセカンドヒットを認めずARMC5の変異がこれらの腫瘍発生に関与している直接的な証拠は得られなかったが、今後更なる解析が必要と思われる。
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