2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K07349
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
藤本 和実 文京学院大学, 保健医療技術学部, 助教 (50769297)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 赤血球 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
質量分析はあらゆる試料を解析できるとイメージされがちだが、質量分析装置に適した試料調製には高度かつ繊細な技術が必要とされる。大量の高分子量タンパク存在量の多い血清、血漿を試料とした質量分析解析は最難関である。新規生理活性因子の探索には血漿、血清、実験動物臓器からの抽出物を対象とすることが多く、赤血球を対象とした報告はほとんどなく、血清、血漿成分の採取後、赤血球は廃棄される。 赤血球が研究対象から敬遠されがちな理由としては、赤血球は全身への酸素運搬、ガス交換という機能が既に解明されていること、約120日の長寿命であることから細胞の状態の標準化が難しいことが考えられる。 本研究では質量分析装置を用いて赤血球中に存在する新規タンパク質ならびにペプチドのメチオニン酸化、システイン酸化レベルについて検討を目的とする。 ①健常者赤血球中のnative ペプチドデータベースの構築:高効率ペプチド抽出法(DS法)を用いて赤血球からnative ペプチドを抽出し、質量分析装置にて解析する。市販健常者血液(全血または赤血球)を用いて、健常赤血球中の断片ペプチド・タンパクを同定する。 ②酸化を受けたアミノ酸(メチオニン・システイン)を含むペプチドの同定:赤血球中の未知の断片タンパク・ペプチドだけでなく、赤血球中タンパク質の大部分を占めるヘモグロビン断片の種類、各断片濃度を定量する。③血漿・血清中ビリルビンの検出:DS法処理血清・血漿についてヘモグロビン代謝物であるビリルビン断片の検出を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究における血液は市販ヒト血液であり、海外輸入品である。コロナ禍のため、供給が安定せず、試料入手に予定よりも時間がかかっており、計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
試料入手については販売元と密に連絡を取り、希望する試料購入の手続きを迅速化できる体制を取る。 血液試料を用いていることで質量分析装置のカラムの消耗度が他の試料を扱う場合よりも早く、メンテナンス頻度が上がり、試料解析に予定よりも時間がかかっているため、研究協力者のサポートを得ることとなった。 市販血液は人種、年齢、性別に偏りがないように入手を続けていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、必要試料・試薬の納期に遅れが生じ、予定通りの支出とならなかった。 本計画では試料の輸入費が高額となる予定のため次年度に使用予定である。
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