2022 Fiscal Year Research-status Report
The relationship between depression and social capital in elderly people living in the Asian highlands: a medical anthropological study
Project/Area Number |
21K07353
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
石川 元直 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20529929)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | うつ病 / 医療人類学 / 高地環境 / ソーシャルキャピタル / フィールド医学 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは2008年よりヒマラヤやアンデスの高地環境に対する人間の医学生理的適応について調査してきた。その中でもインド・ラダック地方ドムカル村(標高3000~3800m)では縦断研究を行っており、ラダックの高地住民には、うつ病が少なく、主観的QOLが高いことを明らかにした。敬虔なチベット仏教徒であるという精神的支えとあいまって、家族やコミュニティーにおける社会的つながりの高さが保たれているために、自立度が低下したり、災害で家屋を失ったりした高齢者に対しても、良好なソーシャルキャピタルのため、QOLが高く保たれる社会のしくみが機能していることが、結果の背景にあると考えられた。しかしながら標高の違う地域や他民族と比較していないため、標高とうつ病の関係にはいまだ不明な点が多い。本研究では中国青海省玉樹(標高3700m)および高知県土佐町(標高300m)、東京都板橋区(標高30m)で同様の手法で健診を行い、ラダックと比較することで、うつ病の発症に抑止的に働く因子をさらに解明する。また、うつ病の有病率を各地域で比較し、標高や文化、人種間、農村部と都市部でのQOLや幸福度との関連をみる。うつ病の有病率が低い要因を抽出し、人々の幸せな老いとよりよい QOLを追求する。また、うつ病によってどのような機能障害があるのか、その他の社会生活上にはどのような悪影響が引き起こされているのか、援助要請のパターンはどうなっているのかについても明らかにし、それに関連する文化的要因についても検討する。 2022年度も新型コロナウイルス感染症の蔓延により一切のフィールドワークができなかったが、フィリピン緩和ケア学会(Philippine Society of Hospice and Palliative Medicine)との研究会で今までの研究の知見やこれからの課題について発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延により一切のフィールドワークができなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は国内外のフィールドワークを再開する予定である。しかしながら本研究の対象者の多くは高齢者であり、特に慎重に行う必要があると考える。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍で一切のフィールドワークができなかったため、次年度に持ち越しています。
|
Research Products
(1 results)