2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of new therapeutic agents for heart failure targeting mitochondria: Possibility of DNA-bound polyamide
Project/Area Number |
21K07354
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
諸井 雅男 東邦大学, 医学部, 教授 (30256721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下條 信威 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20462210)
Jesmin Subrina 東邦大学, 医学部, 博士研究員 (60374261)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 心筋細胞 / ミトコンドリアDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、いくつかのIn vitro実験を行った。最初に、マウスマクロファージの初代培養を行い、ポリアミド化合物が用量依存的にマクロファージ中のミトコンドリアDNAを増加させるかどうかを検討した。リアルタイムPCR法で核内DNAと比較しミトコンドリアDNAは増加していた。また、Mito Tracker実験(蛍光顕微鏡用の代表的な蛍光標識色素で細胞中のミトコンドリアを選択的に標識する方法。波長644 nmの赤色の蛍光を発する。)によっても確認された。このポリアミド化合物はミトコンドリアDNAを増加させるが、一方で核内に作用し細胞毒性を示すことが判明した。そこで我々はこのポリマミド化合物以外を用いた並行実験を開始した。 植物であるモリンガ・オレイフェラ(Moringa Oleifera)の葉からの抽出物が骨格筋細胞内のミトコンドリアの増強作用があることを見出している。モリンガはインド原産の植物で、現在ラテンアメリカ、東南アジア、アフリカで栽培されている。 その後、培養マクロファージにおけるミトコンドリアDNAの増強に関してポリアミドと同様の結果を見出したが、ここでは核内に作用する毒性は認められなかった。その後、培養された単離心筋細胞内のミトコンドリア増強作用についての実験を開始した。ここでもモリンガ葉抽出物は、用量依存的にミトコンドリアDNAを増強させた。我々の実験結果は、このモリンガ植物抽出物が核DNAに影響を与えることなく正常なミトコンドリアDNAの増強作用を誘導できるということである。次年度はミトコンドリア機能障害の動物モデルとミトコンドリアに異常を有する細胞株においてモリンガ抽出物がそれらの細胞のミトコンドリア機能改善をきたすことができるかどうかを検討する実験を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初のポリアミド化合物は培養マクロファージにおいてミトコンドリアDNAを増加させることが確認されたが、同時に核内DNAに対する有害作用を見出した。この点は想定外であったが、すぐに軌道修正してモリンガ抽出物がミトコンドリアDNAの増強作用があることを見出した。モリンガ抽出物には当初予定されていたポリアミド化合物と違って核内DNAに対する有害作用を認めなかった。このことは臨床応用へ向けての前進である。初年度に利用可能な予算を130,552円繰り越したのは新型コロナ感染症の影響でマウスの供給がやや少なく、購入費が減少したためと解析に必要な試薬の購入がやや少なかったためである。研究成果の点ではおおむね順調であると判断している。新型コロナ感染症は研究に影響を与えたが修正し、臨床応用に向けておおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクトの2年目は、初代培養の細胞とミトコンドリアに障害のある細胞株の両方を用いたin vitro実験を継続する。また、心不全のマウスモデルを生成し、その心筋細胞でのミトコンドリアの機能障害をモリンガ抽出物が改善するかどうかを検討する。同時に、遺伝子起源のミトコンドリア機能不全をきたす遺伝子操作マウスモデルにおいてもモリンガ抽出物の効果を検討する。
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Causes of Carryover |
当初のポリアミド化合物は培養マクロファージにおいてミトコンドリアDNAを増加させることが確認されたが、同時に核内DNAに対する有害作用を見出した。この点は想定外であったが、すぐに軌道修正してモリンガ抽出物がミトコンドリアDNAの増強作用があることを見出した。モリンガ抽出物には当初予定されていたポリアミド化合物と違って核内DNAに対する有害作用を認めなかった。このことは臨床応用へ向けての前進である。初年度の計画された予算に対して130,552円が次年度に繰越となったのはマウスの購入数がやや少なかったのと試薬の購入が当初の予定よりもわずかに少なかったためである。これは新型コロナ感染症の影響で供給が遅れたためであった。次年度の使用予定金額は1,130,552円であり、試薬の購入、解析費用、学会参加・論文発表の費用に使用する予定である。
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