2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性を規定する分子機構の解明
Project/Area Number |
21K07360
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雨宮 貴洋 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20778617)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん / 免疫チェックポイント阻害剤 / 治療応答性 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、免疫チェックポイント阻害剤の直接的な標的となる患者の免疫応答の側面も考慮して、治療応答性を規定する分子機構を解明することを目的とする。これまでの検討により、免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性が低い癌として知られているLewis lung carcinoma(LLC)の増殖に伴って変化する免疫系の制御に関わるタンパク質を複数同定した。令和3年度は、これらのタンパク質が実際に免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性に関与しているかを明らかにするために、抗PD-1抗体に対する治療応答性がLLCと比較して高い癌として知られているMC38やLLCと同様に治療応答性が低いB16F10を用いて、担癌マウスを作製しday18で全血を回収した。遠心分離後に得られた血清を使用して、タンパク質の定量を行った結果、全てのタンパク質は抗PD-1抗体に対する治療応答性が高いMC38と比較して、治療応答性が悪いLLC、B16F10において大きく変動していた。したがって、これらのタンパク質は免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性に関与している可能性が考えられた。そこで、免疫チェックポイント阻害剤投与患者において、上述のタンパク質と治療応答性との相関を明らかにするため、臨床研究を実施した。肺癌又は腎癌の進行あるいは再発に対する標準治療として、免疫チェックポイント阻害剤を投与した患者の血清を治療開始直前から治療終了時まで定期的に収集し、治療応答の良好な群と不良な群に分類し、上記のタンパク質の測定を行った。その結果、特定のタンパク質が治療不応群と比較して、治療応答性の良好な群において治療開始前から有意に高く、治療抵抗性を示す段階で低下することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性の制御に関与している可能性があるタンパク質を同定した。また、患者リクルートと血液検体の取得は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は治療応答性の制御に寄与するタンパク質発現系を構築し、制御メカニズムの探索を進める。
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Causes of Carryover |
組換えタンパク質の保存安定性の観点から、大規模培養による組換えタンパク質の取得を次年度の動物実験の直前に行う計画に変更したため。動物モデルを用いた薬効評価を行う際に使用する大量の組み替え融合タンパク質の取得を実施するために使用する計画である。
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