2023 Fiscal Year Annual Research Report
免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性を規定する分子機構の解明
Project/Area Number |
21K07360
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雨宮 貴洋 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20778617)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん / 免疫チェックポイント阻害剤 / 治療応答性 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、免疫チェックポイント阻害剤の直接的な標的となる患者の免疫応答の側面も考慮して、治療応答性を規定する分子機構を解明することを目的とした。これまでの検討により、免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性が低い癌として知られているLewis lung carcinoma(LLC)の増殖に伴って変化するタンパク質として、IL-1 receptor accessory protein(IL1RAP),IL-1R1,IL-1R2およびIL-1βを同定した。そこで、免疫チェックポイント阻害剤投与患者において、上述のタンパク質と治療応答性との相関を明らかにするため、臨床研究を実施した。免疫チェックポイント阻害剤を投与した患者の血清を治療開始直前から治療終了時まで定期的に収集し、治療応答の良好な群と不良な群に分類し、上記のタンパク質の測定を行った。その結果、これらのタンパク質が免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性に関与していることが明らかとなった。また、本研究のバリデーションを行うため、免疫チェックポイント阻害剤を投与した患者20名を対象に臨床研究を行った結果、上述と同様の結果が得られた。 次に、IL-1シグナル伝達の調節に関与する分子を検討するため、抗PD-1抗体に対する治療応答性がLLCと比較して高い癌として知られているMC38とLLCの遺伝子発現量の比較を行った。その結果、LLCにおいてアドレノメジュリンの発現が増大していることが明らかとなった。そこで、Hepa 1-6細胞に対してアドレノメジュリンを添加後にRNAを抽出しRT-PCRによりIL1RAP isoform 2 mRNAを定量した結果、有意に低下することが明らかとなった。以上の結果より、アドレノメジュリンがIL-1シグナル伝達の調節に関与している可能性が考えられた。
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