2021 Fiscal Year Research-status Report
ナノポア・シーケンサーを用いた網羅的な病原体検査法の実証
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21K07375
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
前田 卓哉 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (20383763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽本 憲人 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (00746993)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SARS-CoV-2 / COVID-19 / 混合感染 / 重症化 / ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はCOVID-19の感染拡大に伴い、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「中等症」ならびに「重症」患者から取得した鼻咽頭拭い液を使用し、病原体ゲノムを網羅的に解析することで、共感染する病原体の病態への関与を検証した。さらに、ゲノム解析のパイプラインを構築し、当院における重症COVID-19患者の混合感染をモニタリング体制をあわせて構築した。 当院で診療し、凍結保存していたCOVID-19患者検体(9,641検体)のうち、最終的に中等症もしくは重症COVID-19と診断された患者の初回採取検体42検体を対象として用いた。大学病院IRBによる承認後、患者背景(年齢、性別、基礎疾患など)の診療情報もあわせて解析した。本検討の結果、当院で診療した中等症・重症患者の検体から、SARS-CoV-2以外のウイルスの共感染を検出することはできず、重症化因子になりうるとする仮説は否定された。なお、42名のうち16例(38.1%)から24の細菌感染症が確認された。入院から細菌感染症の診断までの中央値は6.5日であり、敗血症5例、誤嚥性肺炎4例、カテーテル関連血流感染症4例、尿路感染症3例、二次性肺炎3例、肺アスペルギルス症2例、などがあった。 2021年度には、1)ウイルスの網羅的解析手法を構築し、2)COVID-19の重症化の因子にウイルスの共感染の関与を検証し、その関連性がないことを明らかとした。2022年度以降は確立した解析手法をさらに発展させ、感染症診断のパラダイムシフトにつながる遺伝子解析技術となるよう、実証試験を推し進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標としてウイルスの網羅的解析手法を構築し、2021年度に感染拡大したCOVID-19の患者検体を用いて重症化因子の解析に使用した。その成果については、現在論文投稿をしており、本研究計画は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのウイルス解析を踏まえ、2022年度からは細菌の網羅的解析(微生物叢解析ならびにレジストーム解析)を準備している。抗菌薬の投与歴のある患者の口腔拭い液を使用し、抗菌薬投与前後での網羅的ゲノム解析を行い、さまざまな情報収集能力を構築し、その臨床応用の可能性を検証する。すでに2022年4月に関連するIRB承認を取り、現在、本システムを利用したパイロット検証試験を準備している。
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