2023 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポア・シーケンサーを用いた網羅的な病原体検査法の実証
Project/Area Number |
21K07375
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
前田 卓哉 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (20383763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽本 憲人 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (00746993)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MinION / 臨床検査 / blaDPC-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Minionシーケンサーを用いた臨床検査への実証試験として、構築したパイプラインを活用し、薬剤耐性機序の解明に取り組んだ。解析には、MALDI-TOF MSにてDysgonomonas capnocytophagoidesと同定された分離株を使用した。本菌は幅広い抗菌薬耐性が報告されるが、その耐性機序の詳細は未だ解明されていない。今回、広範囲β-ラクタム系の他、クラリスロマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、クリンダマイシンへの耐性を確認したほか、クラスBのメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生が示唆された。ゲノム解析にはMinion (Flongle, Oxford) およびiSeq100 (Illumina)を使用した。配列リードは4,781,552 bpおよび2,784 bpにアセンブルされ、それぞれを環状ゲノムおよび環状プラスミドと同定し、データベースに登録した(AP028867, AP028868)。16S rRNA解析では、D. capnocytophagoides DSM 22835株(NR_113133)に対し、97%のカバレッジと99.8%の同一性を示した。DFAST4 およびResFinderではMBL gene (blaDYB-1)と、その上流にBacteroides promoterを確認した。アミノ酸解析ではBacteroides fragilis CfiAと51%の相同性をもち、Zn2+リガンドを確認した。最後に、blaDPC-1 のORF全長をpHSG398に組み込み、TOP10に形質転換したのち各種抗菌薬への感受性変化を検証した。その結果、カルバペネムを含むβ-ラクタム系抗菌薬へのMIC増加を認めたことから、本菌が広域β-ラクタム系抗菌薬に耐性を示したことにより、Class B MBL遺伝子blaDPC-1が関与することが明らかとなった。
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