2021 Fiscal Year Research-status Report
筋萎縮性側索硬化症モデルにおける軸索分岐異常の分子基盤の解明
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21K07411
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 直輝 東北大学, 大学病院, 助教 (70451599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
割田 仁 東北大学, 大学病院, 助教 (30400245)
青木 正志 東北大学, 医学系研究科, 教授 (70302148)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロンが系統的に障害され根本的な治療が未だ無い難病である。ALSの多くを占める孤発性ALSの剖検脳・脊髄ではTDP-43の封入体が見られる。TDP-43をコードするTARDBPはFUSやhnRNPA1と共に家族性ALSの原因遺伝子であり、またRNA結合蛋白でもある。RNA代謝異常は、軸索障害とともに家族性・孤発性ALSに共通して見られる病態機序である。独自開発したマイクロ流体デバイスを用いiPS細胞由来運動ニューロン軸索を大量に回収・網羅的解析し、FUS、hnRNPA1、TDP-43といった代表的なRNA結合蛋白変異における病態を比較解析してきた。 本年度はRNA-seq解析により、TARDBP変異による軸索局所でのRNA代謝異常を転写レベルで解析した。PHOX2Bを見出し、その発現抑制で健常者運動ニューロンの突起伸長抑制が再現された。動物モデルとして、ゼブラフィッシュでも、モルフォリノによるPHOX2Bの発現抑制実験で、細胞モデルと同様に脊髄軸索長が低下し、さらに運動機能も低下した。PHOX2Bは、ALSで発症後長期まで保たれる動眼神経や自律神経において発現が高いことから、変異運動ニューロンの選択的変性に関わる可能性が考えられる。上記の新しい知見をStem Cell Reports誌に報告した(Mitsuzawa S, et al. Stem Cell Reports 2021)。各遺伝子変異の共通分子の解析や動物モデルを用いた検証を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鍵分子であるPhox2Bの細胞モデルでの役割を明らかにすることができ、論文化まで行えた。Phox2Bの下流の分子、また運動ニューロンで特異的に変化する分子について、分化プロトコルの最適化を行い、比較解析を行う準備が整ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きTARDBPおよびFUS変異の軸索病態の共通する分子の役割についても検討している。さらに本研究の知見をふまえて、ALSモデルの症状改善効果が得られるかどうかを、動物モデルも視野に入れて検証していく。動物モデルは作成を終え、さらに海外からの搬入も終えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響もあり、培養実験が予定よりも少なくなった。また輸入予定だったマトリゲルという培養試薬の納品が遅れた。
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Research Products
(1 results)