2021 Fiscal Year Research-status Report
グリア系細胞におけるタイトジャンクションの意義と神経病態への関与
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21K07414
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 勉 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (20534879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 淳 帝京大学, 医学部, 准教授 (00362525)
松村 成暢 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 准教授 (70467413)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / タイトジャンクション / 血管内皮細胞 / アストロサイト / 脳梗塞 / claudin / occludin |
Outline of Annual Research Achievements |
BBBは脳血管内皮細胞だけでなくastrocyteやpericyteなどグリア系細胞を含めてNeurovascular unitを形成。アストロサイト及び血管内皮細胞におけるclaudin及びoccludin及びZO-1などのtight junction(TJ)蛋白の生理的及び脳梗塞時の動態について検討した。アストロサイトにおけるCldn10b、Cldn12、Cldn25などの発現様式について、超解像顕微鏡イメージングなどにて動態を確認した。更に、アストロサイト特異的Cldn10b、Cldn12、Cldn25 マウスについては、繁殖が既にできている。アストロサイトが構築するTJを標的としたBBBの操作法開拓として、GFAPプロモーター及びCBSプロモーターを搭載したAAVを作製し、アストロサイト特異的及び血管内皮にCldn10b、Cldn12、Cldn25の遺伝子導入を行うことを進めている。このための、in vivo用のAAV-Cldn10bの大量精製まで施行済みである。 occludinについては、BBBにおけるTJを検討する上では、まずは、血管内皮細胞におけるoccludinの役割を検討する必要がある。このため、本年度はoccludinKOマウスを作製し、脳梗塞に与える影響を検討した。occludinはKDしても、生理的状態ではTJ strandを形成することが知られている。occludin KOマウスに脳梗塞を作製すると、野生型に比して、脳梗塞後の梗塞サイズ増大及び、慢性期に至るまでの神経機能の有意な増悪を認めた。occludin KOマウスでは、急性期から慢性期にいたるBBBの透過性の亢進を認めた。更に、occludinKOでは、脳梗塞後のAngiogensisの低下というoccludinの新しい機能を見出し、現在、投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アストロサイトが構築するTJの生理的意義や神経病態との関連について、形態学的な検討としては、Cldn10b、Cldn12、Cldn25などの発現様式について、超解像顕微鏡イメージングなどにて、その動態を確認した。脳梗塞後のTJ蛋白を制御する因子としてmiR-132などのmiRNAの重要性を論文にて報告した。又、脳梗塞におけるCldn10bの役割を詳細に検討するため、Cldn10b flox,及び、Cldn12/Cldn25 Double floxマウスを作製し、GFAP-CREマウスと交配し、アストロサイト特異的Cldn10b、Cldn12、Cldn25マウスの繁殖が既にできている。更に、本年度において、AAV-Cldn10bなどの作製を施行し、in vitroのアストロサイト培養系での発現を確認し、in vivo用のAAV-Cldn10bの大量精製まで施行済みである。現在、作成したAAVの精製度を確認している段階である。occludinについては、脳で発現が多い、血管内皮細胞におけるoccludinの役割を検討する必要がある。本年度はoccludinKOマウスを作製し、検討した。occludin KOマウスに脳梗塞を作製すると、脳梗塞後の梗塞サイズ増大及び、慢性期に至るまでの神経機能の有意な増悪を認めた。又、急性期からBBBの透過性の亢進を認め、7日という亜急性期に至るまで、4KDaの分子量のトレーサーの漏出を認めた。occludin KOマウスでは、脳梗塞後の新生血管の低下というoccludinの新しい機能を見出し、現在、脳梗塞におけるoccludinの役割について投稿中である。このように、本年度は、形態学的検討、GFAP特異的ClaudinKOマウスの作製、アストロサイトが構築するTJを標的としたBBBの操作法としてのAAV作成までできており、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
形態学的検討として、Cldn12やCldn25、Cldnの重合制御に必須な裏打ち蛋白質であるZO-1やZO-2、膜蛋白質であるオクルディンやトリセルリンなどのアストロサイトのendfootへの局在を超解像顕微鏡イメージング及び電子顕微鏡など使用して調べる。実験系としてin vitro astrocyte初代培養系、semi-in vivo単離Neurovascular unit(NVU)、in vivoマウスを用いる。さらに、本年度作成できたアストロサイト特異的Cldn10b KOマウス、Cldn12/Cldn25 Double KOマウスに対して脳梗塞を作成し、脳梗塞などの神経病態におけるCldn10b、Cldn12、Cldn25の、脳梗塞後のTJの細胞間バリア特性及び、BBBのバリア特性に与える変化、神経機能予後に与える影響を検討する。アストロサイトは神経保護的な側面と神経障害的な側面、及び、急性期と慢性期における反応性アストロサイトにおける役割は異なるため、急性期~慢性期に至るアストロサイトにおける役割の差異なども検討する。 アストロサイトが構築するTJを標的としたBBBの操作法開拓として、本年度に作成できたAAV(GFAPプロモーター及びCBSプロモーター)を用いて、アストロサイトまたは血管内皮にCldnを発現させ、AAVを用いた遺伝子操作により、どのような細胞にどのCldnまたはoccludinを発現させれば、神経病態の治療に繋がりうるかについて検討を行う。このように形態学的検討、アストロサイト特異的Cldn KO、AAVを用いたアストロサイト又は血管内皮への遺伝子導入による操作など組み合わせることにより、本研究を推進する。
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Causes of Carryover |
大阪大学医学部動物施設の改装に伴い、マウスの移動、飼育ケージの整理などで、マウスの脳梗塞の手術などを施行する期間、及び、実験時間が制限されたため、脳梗塞モデル作成後のClaudin解析について少し遅れており、それに関わる経費が次年度使用になった。
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