2023 Fiscal Year Annual Research Report
超早期治療による発症抑制を目指したHAM発症前炎症病態の診断に資する研究
Project/Area Number |
21K07418
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松浦 英治 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30598800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 博 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80372803)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HTLV‐1 / HAM/TSP / 診断マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度の実績:診療ガイドライン作成に資する新たな診断マーカーを明らかにするために、HAM患者カルテ情報をもとにHAM診断に有用な臨床的特徴を探索した。HAM入院患者連続101症例の診療記録情報を用いて最も障害されやすい筋と最も筋力低下の著しい筋について検討した。その結果、最も障害されやすい筋は腸腰筋とハムストリングスであり、実に90%以上のHAM患者で障害されていることが明らかとなった。加えて筋力が最も低下している筋も同二つの筋群であった。この傾向はHAMの病初期のみならず歩行か困難レベルに到達した患者でも全く同じ傾向が確認され、病期を通じて二つの筋力に着目することがHAMの診断に寄与することが明らかとなり論文報告した(Matsuura et al. Pathogens 2024)。この近位筋低下とも呼べる筋力低下はときに筋疾患との鑑別を要することになるが、実際に筋疾患を合併している患者がいることに留意するために、筋疾患合併例の症例について林分報告した(Matsuura et al. BMC Musculoskeletal Disorders 2023)。これらの報告を広く周知するために神経感染症学会にて発表するとともに同学会雑誌に論文掲載した。また、東アジアにおけるHAMの遺伝子学的特徴を明らかにし報告(PLoS Negl Trop Dis. 2024)したほか、HAMの発症と関連の強いT細胞クローンの同定を行い報告(JCI Insight 2023)した。これらのHAMの診断に寄与する研究は診療ガイドライン作成に寄与するものである。
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